教育福島0033号(1978年(S53)08月)-007page

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るとともに、生徒にも将来の進路との関連において自分自身を正しく理解させる活動である。

 

(二) 生徒に進路に関する情報を得させる活動

職業や上級学校等に関する新しい情報を生徒に与えて理解させ、それを各自の進路選択に活用させる活動である。

 

(三) 生徒に啓発的経験を得させる活動

生徒に経験を通じて、自己の能力・適性等を吟味させたり、具体的に進路に関する情報を得させる活動である。

 

(四) 生徒に進路に関する相談の機会を与える活動

個別あるいはグループで、進路に関する悩みや問題を教師に相談して解決を図ったり、望ましい進路の選択や適応・進歩に必要な能力や態度を発達させる活動である。

 

(五) 就職や進学等に関する指導・援助の活動

就職、進学、家業、家事従事など生徒の進路選択時における援助やあっせんなどの活動である。

 

(六) 卒業者の追指導に関する活動

生徒が卒業後それぞれの進路先においてよりよく適応し、進歩向上していくように援助する活動である。

 

四、進路指導の計画

 

いうまでもなく、進路指導は、学校の教育活動全体を通じて行うべきものである。従って、各学校においては、どのようにすればそれが可能であるか、その構想を明らかにしなければならない。それには、まず、学校の教育活動全体を通じて行う進路指導の概要の確認が必要となる。

例えば、

(一) 進路指導の諸活動のうち、個人資料、進路情報、啓発的経験に関するものは、特に、教育課程の各領域にわたって扱うようにする。

(二) 進路指導の機能を補充し、深化し統合する役割を担う学級指導における指導や、個別指導を徹底するために適切な機会や場を設定して、計画的に行うべき進路相談は、特に重視するようにする。

(三) 教育課程の学級指導以外の領域、例えば社会科、保健体育科、道徳、学校行事などにおいて取り上げる内容等には、特に進路指導と直接的な関連の深いものが含まれていることに留意し、その指導に際しては、それぞれの目標に従いながら、進路指導にも寄与し得るように配慮する。

(四) 就職・進学などへの個別的な援助や追指導などについても、適切な配慮をするようにする。

更に、自校の進路指導の目標・方針・努力点などをどのように設定するか、生徒の実態等に基づきつつそれらを明確にするとともに、前述の(1)から(4)のそれぞれについて、更に具体的に検討し、それらを全体構想として計画化し、学校の教育活動全体を通じて行う進路指導の内容等について共通理解を図るとともに、全校的指導体制を確立し、その実践に努めていく必要がある。

全体計画は、個々の計画の頂点に立って、学校の教育活動全体を通じて行う進路指導を統括していく役割を示すものであり、個々の計画は、全体計画の下部にあって、全体計画に取り上げられた主要な内容をそれぞれ分担し、その実施のために、主として年間計画として、その役割を果たすものということができる。

従って、進路指導を、学校の教育活動全体を通じて効果的に行うためには、まず、このような理解と確認の下に、全体計画を適切に立案し、それに基づいて、例えば学級指導における進路指導の計画、進路相談の計画などを始めとする個々の計画を立案し、実践することが必要となる。

なお、個々の計画としてどのようなものが必要かということは、全体計画の立案に関係するので、一概には言えないが、例えば、次のようなものが考えられる。

 

○ 生徒に直接働きかけるために必要な個々の計画

1)学級指導における進路指導計画(進路の指導計画、関連指導の計画)

2)短時間の学級指導における進路指導計画

3)学級指導の発展・延長としての進路指導計画(定期進路相談の計画、検査・調査の計画)

4)学級指導以外における進路指導計画(定期観察の計画、各教科・道徳・学校行事における関連指導の計画、資料室等における情報・資料等の提供の計画、進学・就職等への援助の計画、啓発的経験に関する指導の計画、評価の計画)

5)その他必要な計画

 

○ 父母に働きかけるために必要な個々の計画

1)父母を対象とした子供(生徒)の進路に関する研修計画

2)子供(生徒)の進路についての個別相談・三者相談の計画

3)その他必要な計画

 

○ 教師の活動のために必要な個々の計画

1)一般的な管理・運営の計画

2)打ち合わせ会等の会議の計画

3)研修の計画

4)事務処理の計画

5)進路・就職等の業務及び関係機関との連携の計画

6)相談室・資料室等の管理・運営の計画

7)評価の計画

 

 

 


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