教育福島0033号(1978年(S53)08月)-008page
8)卒業者への追指導の計画
9)その他必要な計画
また、全体計画の立案・運用上の留意点として、次のようなものが考えられる。
○全体計画の立案上の主な留意点
1)他校のそれを単に模倣するのでなく、自校にある進路指導に関する計画の現状や自校における進路指導の実情などをじゅうぶんに検討し、自校に適合したものを立案する。
2)その際には、全体計画の役割、形式、内容などについて、特に研究を深めるようにする。
3)いよいよ原案を作成する段階に入るときには、進路指導主事が中心者となるが、より多くの教師が自己の役割を明確にし、協力していくようにする。
4)最終的には、進路指導部(委員会)などでの審議を経て、全教師に提示し、必要によっては修正を加えて成案とする。
5)校長、教頭としても、単に任せておくだけでなく、適切な指導、功言する。
○全体計画の運用上の主な留意点
1)全体計画を印刷物にして全教師に配布し、学校の教育活動全体を通じて行う進路指導の内容や各教師の役割などについて、具体的に理解、確認させ、全校的協力体制を確立する。
2)関係教師は、全体計画に基づいて、個々の計画の原案を作成し、全体計画と同様な審議を経て、学校として用意すべき個々の計画を適切に立案する。
3)全体計画の主要部分を模造紙などに記入して職員室に提示し、全教師の関心を深めさせるようにする。
4)各月ごとの進路指導の内容等について、周知、確認させる機会を定期的にもつようにし、その際、全体計画をじゅうぶん活用する。
5)これらは、進路指導主事が中心となって推進する。
なお、進路指導における教師のなすべきことは、中学校の進路指導の特色を理解し、この指導に必要な見識や技術を身につけて、生徒の家族と協力しながら、最善を尽くすということである。教師にとって、生徒の遠い将来における姿を予測することはできない。従って、教師の一方的な考えで、彼らを一定の道へ押し進めることは、つつしまなければならない。
※参考・引用文献
・進路指導の手引き 文部省
・進路指導の現状と問題 文部省
次に「わが校における進路指導との実際として二つの事例を絡介しょう。
わが校における進路指導
郡山市立多田野中学校
一、はじめに
昭和五十二年度の福島県の高校進学率は、八八・七%といわれ、年々進学率は向上している。生徒一人一人に適切な進路指導を行うためには、教師がじゅうぶんに生徒理解に努めるとともに、生徒にも自己理解させることがたいせつであるといわれている。しかし、現実には生徒の進路決定にあたって生徒、父兄、教師の相互理解の欠如から希望する進路に進めなかったという問題が生じている。
本校においても進路指導について特別の研究実践をしているわけではないが、進学率の向上とともに本校の歩んできた道すじを紹介し、参考に供したい。(表1、表2参照)
二、進路指導についての考え方
本校は郡山市の中心から十五キロほど離れた逢瀬町にあり、近くには県内の子供たちが宿泊しながら研修できる「県少年自然の家」がある。
保護者の職業別構成は、農業五六%を含む自営業が七六%、給与生活者が二四%で専業農家より兼業農家が増加の傾向にある。
生徒数は年々減少の傾向にあるが、進学についてはここ五か年間で急増している。
父兄は、教育に対して熱心であり、授業参観のときは約半数以上の出席があり、数年前からみると教育に対する意識の高揚がみられる。
急速に変化する社会の中で年々高校への進学者は増加しており、本校においても同様である。従って、中学校における進路指導の役割もきわめて重要性を増している。知的な面だけが進路の決定に位置づけられ、生徒の能力、適性が軽視されるならば、生徒の将来の幸福を願っている親、教師の立場はないに等しい。
進路指導は中学校入学の段階から二か年にわたって計画的・継続的に指導
表1 卒業年度別進学状況
年度 卒業者数 進学 就職 農業 家事 43 102 47 34 0 21 44 123 51 45 0 27 45 125 83 35 0 7 46 135 94 38 0 3 47 111 84 23 0 4 48 115 87 26 0 2 49 95 83 12 0 0 50 102 87 15 0 0 51 71 66 5 0 0 52 77 73 4 0 0 53(予定) 74 71 3 0 0