教育福島0033号(1978年(S53)08月)-009page
し、生徒みずからが職業観を持てるように学校教育全体の中で、すべての教師が参加して行うべきものであり、その中でも特に学級担任の果たすべき役割はきわめて重要である。
進路指導即進学指導になりやすい風潮の中で、生徒の進路を決定する際、生徒の希望を尊重しながら、親との共通理解を図り、絶えず助言と指導を加え、生徒の希望が達成できるよう努力することが教師の役割であろう。そのためには、学校の実態に応じた進路指導計画を立案し、実践・評価・改善という過程をとおして、更に指導計画の内容を充実させていくことが必要である。
三、進路指導の全体構想
「生活に目標をもち、自己指導のできる生徒の育成」これが本校の教育目標であり、更に具体化されて学年・学級におろされているが、この目標具現のため進路指導の全体構想を次のようにたてた。
(一)、指導目標
一人一人の生徒理解を深めるとともに、生徒が自己の能力・適性等を理解し、卒業後の学業生活、又は職業生活を通じて自己実現ができるような態度を養う。
(二)、学年目標
一年
1) 中学校生活に適応し、自己の能力や適性等について理解を深めさせるようにし、あわせて自己の進路に対する関心をもたせる。
2) 自己確立の素地を固めるために、自己の教育活動等との関連において進路計画をたてさせ、進んで相談する態度を養う。
二年
1) 職業や高等学校についての知識や情報を得、自己の進路計画を深めさせ、進路の志向能力を高める。
2) 三学年に進む前に、自己の進路や特性に応じた教育活動が自主的になし得るよう指導援助する。
三年
1) 今までの努力を反省しつつ、自己の特性を進路と結びつけ、より伸長を図らせながら具体的な決定に至るよう援助する。
2) 卒業後の学業生活や職業を通じて自己実現を果たし得るよう指導・援助する。
(三)、努力実践事項
1) 学年経営、学級指導、生徒指導等
図1 指導組織図
他領域との関連を密にする。
2) 生徒理解のための資料を収集、整理、保管し活用を図る。
3) 検査、調査の企画、実施及びその結果の解釈と活用に努める。
4) 進路コーナーを設置、効果的な運用を図る。
5) 進路相談を適宜実施する。
6) 校外の諸機関、諸団体、高等学校及び各種学校との連絡を図る。
(四)、指導組織 (図1参照)
(五)、進路指導計画(表3参照)
四、学校としての特色
とりわけ本校としては変った進路指導に当たってきたわけではないが、昭和五十二年度卒業生に実践したいくつかを紹介してみたい。
(一)、進路相談
本校での進路相談も特に変った点はないが、三者面談は以前までは三年生になってからであった。二年生時に学年PTAで保護者からの要望もあり、二年生としての生徒、保護者、担任教師による進路相談を本校では初めての試みとして第二学期に実施した。
この相談では、生徒と保護者の進路に関する考え方、学校生活問題等を中心とした話し合いとし、特に相談の時間を特設せず担任教師の空き時間、放課後等を利用して、保課者には来校時刻を指定し、生徒一人当り二十分を話し合いの時間とし、ほとんどの保護者
表2 進路希望と決定
52年度6月 公立高校 私立高校 定時制高 各種学校 就職 計 コース 普通 商業 工業 農業 家庭 普通 商業 工業 家庭 男 9 5 11 3 1 2 1 3 2 37 女 16 7 13 1 1 2 40 計 25 12 11 3 13 2 2 1 1 5 2 77 3月末 男 7 7 3 5 1 1 6 4 3 37 女 5 7 7 7 8 1 1 3 1 40 計 12 7 3 5 7 8 8 14 1 1 7 4 77
表3 進路指導計画