教育福島0033号(1978年(S53)08月)-011page

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わが校における進路指導

福島市立吾妻中学校

 

一、進路指導についての考え方

 

本校生徒の近年における進路状況は高等学校への進学率が急速に上昇している。そこで、それに対する指導体制をじゅうぶんに整え、進路指導がもつさまざまな問題点を少しずつ解決しながら、より充実した指導に努めたいと考えている。その内容として、学級指導における進路指導の充実を軸に、全職員の共通理解にたって、生徒の個人理解をよりいっそう深めて指導の徹底を図っている。

進路指導とは、一人一人の生徒が、自己を正しく理解し、正しい職業観のうえにたって進路を選択できるようになることでもあると考える。それで、生徒の能力、適性等に応じて、教師が組織的、計画的、継続的に進路についての指導をすれば、生徒は自主的に進路を選択し、自己の将来の生活によりよく適応し、自己の能力を伸長するようになるであろうし、より適切な進路を主体的に選ぶ能力を育てることができるようになるであろうと考えた。

また、進路指導の研究を通して、学校教育活動の計画などが整理統合され、進路指導の方向づけができるようになったり、生徒の個人記録が累積されることによって、進路相談の資料として役立つことにもなる。更に、進路指導の授業研究を進める過程においては、授業の内容が充実し、生徒がみずから進んで情報、資料をもとめ、自己の進路に関心をもち、自己実現に向って前進するようにもなり、中学校生活をより充実したものにすることができるようになると考えた。

 

二、進路指導の全体構想

 

進路指導は教育課程のすべての領域で指導されることをためまえとしているが、生徒指導、特別活動とは特に深いかかわりをもつ。

特に、学級指導におけれる進路指導の授業は、個々の生徒の能力・適性等のは握と、生徒の将来の進路や職業について選択ができる基礎的な能力や態度を育成するための援助をするものである。

ところで、学級指導における進路指導の目標を「生徒たちに、自分の将来について考えようとする気持ちと、考えることのできる力を育てる」とするならば、学習指導要領の学級指導の五つの内容や項目のいずれもが、進路指導に多かれ少なかれ、かかわりをもってくる。従って、進路の選択に関することと、そこに例示されている項目だけが進路指導だと考えることは無理となる。

本校では、そのことから、学級指導の五つの内容や項目の例を全般的にふまえ、三か年の見通しに立って各学年ごとの指導計画を立て、発展的な指導ができるように、これらの例示を弾力的に活用することにした。

進路指導の全体構想の骨組をあげてみると、学校目標、経営の方針、努力目標、各教科、道徳、特別活動、生徒指導、進路指導、学年経営、保護者への啓発となっている。これらは縦横のからみあいとなって関連している。

 

三、進路指導の計画

 

本校では、進路指導のねらいを次のように考えた。

○生徒自身が自分は将来どんな人になったらよいか。また、どういう職業についたらよいかを自分から考え、その希望を実現するための計画をたてて実践させる。

○卒業時には、その希望にあった進学や就職を実現し、将来の生活において、よりよい環境に適応できるように常に努力し、自己の進歩向上を図っていくことができるようにする。

そのために、学級指導の時間を軸として、次のような指導を重点的に実践してきた。

1)、個々の生徒にみずからの生き方について指導援助する。

2)、個々の生徒の職業に対する意識や理解を深めさせる。

3)、個別指導をとおして、一人一人の生徒をたいせつにし、計画的にその可能性を伸長する。

4)、地域社会との連携、家庭の協力を特に重視して指導する。

進路指導の計画を作成するに当たっては、進路指導を生徒の全人的な育成の一環としてとらえ、学年経営を検討し、三年間の見通しにたって指導計画をたてた。更に、生徒の自主性を重視し、学力の向上をめざして、より適切な進路を実現させるようにした。

また、学級指導の進路指導に関する題材を、各学年別に月ごとに分類して一覧できるようにし、更に係分担として進路相談、調査・検査、情報資料、進路選択と指導、保護者の啓発に分けて活動内容を配分した。

 

四、研究の特色とその実践

 

(一)、学級指導における進路指導の授業研究とその充実

進路指導の研究を進めるなかで、学級指導を軸とした進路指導について共通理解を深めるため、進路指導の授業研究を実践した。授業の展開案の形式をきめ、今後も継続して授業研究を進めようと考え、一時間ごとの授業の展開案を分担して作成した。展開案で共通したものとして、題材名、題材設定の理由、指導計画(三年間の関連題材と主なねらいをあげる)本時のねらい、準備品、資料・指導過程である。進路指導の授業研究は、各教科、道徳とともに全職員が参加して、事前研究会、授業参観、事後研究会を計画的に実施し、次のような深まりをみた。

1) 学級指導の授業とは、教師と生徒の人間的ふれあいを基本にして進めるものであることを確認し、経験を語りあうことを通して、生徒各自が

 

 

 


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