教育福島0033号(1978年(S53)08月)-022page

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者が今後増えると思われる。援産、更生施設等もあるが、入所がきわめて困難な現状であり、自宅保護を余議なくされている。また、就職と援産施設の中間に位置する者の職業訓練教育機関が皆無である。進路指導もここに至ってとまどうのである。

 

三、生徒理解のための資料の収集と相談活動

 

漆器工場での実習

 

漆器工場での実習

 

会津若松市立第二中学校

 

本校では、進路指導をすすめるに当たり、次のような努力点をかかげた。

1) 日常生活指導の徹底

諸種の資料及び日常の指導と観察の記録を累績し、一人一人の理解を深め、効果的な指導の手だてを発見し、指導の徹底を図る。

2) 適切な進路指導

進路にかかわる情報を日誌として記録し、適性の発見と定着可能な職場の発見に努める。

3) 効果的な職業指導

能力に応じた作業内容の分析をすすめ、また、啓発的経験及び適性発見の場としての校外職場実習を計画的に実施する。

(一) 生徒理解と資料収集

本校は、現在5学級、五十七名で若松市内の小学校特殊学級卒業生全員が入級することになっている。

1) 個人調査票整備(一月)

各小学校にあてた家庭状況、生育歴、身体状況、知能及び基礎学力、作業能力、性格、行動特性等について記述式で個人調査を依頼。

2) 入級生保護者会(二月)

担任全員で分担し個人面接をする。そこで、個人調査票を手がかりに、基本的生活習慣、通学方法、保護者の悩み、要望等を確かめ、指導の重点、問題点を整理する。

これらの資料をもとに、六名の担当者で意見の交換をし、入学時までに、一人一人の能力、特性のは握に努めている。「六人全員が全生従の担任である」という構えで毎週定例の情報交換研究協議をし、教科学習、作業指導においても生徒理解と適性の発見に努めている。また、毎年度、計画的に社会生活能力検査等も含め標準化された検査を実施し、進路指導や相談活動の資料として活用している。

さらに、校外職場実習を次のように実施している。

第一次 九月に全生徒を対象に五日間実施する。ここでは、携行品の整理整とん、あいさつやことばづかい、事業所の内規の理解、安全等に重点をおいた指導をする。

第二次 十一月に第三学年を対象に六日間実施する。

第三次 翌年二月に第三学年対象に約十か所の職場で六日間実施する。

第二次、三次の実習は、就職を目前に控え、一人で通勤し、一般従業員と同条件で働き、仕事に対する心構えを養い、よりよい対人関係づくりを目ざしている。特に、市内就職者は、第三次は求職した事業所での実習なので、作文や日誌による感想、事業主や職場の従業員の意見、保護者との面談など、具体的な事項に沿った情報の収集がたいせつである。

(二) 保護者との相談活動

第一学年での進路相談は、卒業後の進路をどこの地域に求めているのかを確かめている。第二学年で学校としての意見をまとめ、本人の能力や特性等について話しあいながら、職種や任地についての検討をすすめ、互いに目安をつける。

第三学年で保護者会、授業参観日等から生徒の真の姿、能力を知ってもらうように努め、現実の問題として担任との意見の調整を図り、担任ともども職業安定所の面接相談にのぞんでいる。

(三) 残された課題

本校では、現在ダウン氏症、脳性まひ等の生徒が三〇パーセントを占めている。これらの生徒については、作業学習等でいろいろくふうした作業を用意し、能力開発につとめている。しかし、市内の小企業はほとんど障害者雇用率を達成しており、就労、就職への道はけわしい。できれば、このような障害者のために市営の作業場を用意してほしいと考える。また、販路の確立した軽易作業に従事できるような公的な施設があり働らくことができれば良い。そうであれば、より満足したはげみのある生がいを送ることができるはずである。

 

四、正しい自己理解と適切な進路選択の指導

 

福島県立聾学校

 

本校の生徒は聴覚障害を持つが故に最も重要な進路情報がみずからの手で得ることがたいへん困難なことである。そこで本校としての重点課題は、自己理解を基盤として自主的に自己

 

 

 


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