教育福島0033号(1978年(S53)08月)-030page

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研究実践紹介

 

社会科において、学習を一人一人に成立させるための授業のあり方

白河市立白河第三小学校

 

一、主題設定の理由

 

本校では、一昨年度来「目標分析と形成的評価」による指導法の改善に取り組んできた。昨年度の社会科学力調査の結果、資料の読みとり方、特に比較・関連させての読みとり、因果関係の推察等の能力が劣っていることが確認された。そのため、本年度は、いままでの算数科の実践研究の成果と反省を生かして、社会科に転移し、個々の児童の学習の成立を図るために、この研究主題を設定した。

 

二、研究の方針

 

1) 社会科における指導目標を分析する観点と方法を明らかにする。

2) 目標分析に基づく形成的評価は、どう実践的に進めればよいのかを明らかにする。

3) 授業過程における、学習のし方、学び方を明らかにする。

 

三、研究の内容

 

(一) 社会科における目標分析のあり方

○行動要素、内容要素のとらえ方

○行動目標のたて方

○内容の精選と移行措置との関係

(二) 形成的評価とその方法

○形成的評価の時期の検討

○形成的評価の方法の多様化

○つまづきの発見とその手だて

(三)教科の本質に基づく学習方法

○社会科の学習のし方(学び方)〜五段階学習と段階ごとの学習

○基礎的能力の育成〜資料の活用能力を中心として

 

四、研究の方法(概略)

 

(一) 研究単元の選定と授業研究

○各学期一単元の学年内授業研究

○各学年年一回ずつの校内授業研究

(二) 研究の実践計画

(第一次)

○目標分析のあり方の研究

○社会科における授業過程の研究

○授業過程における形成的評価

(第二次)

○第一次研究の継続

○授業過程における学習訓練の研究

○資料の位置づけと学び方

(第三次)

○第二次までの研究の成果と反省に基づく修正

○第三次研究の深化

 

五、実践例(第一回授業研究)

 

この授業は、本年度の社会科の授業研究のあり方としての問題提起の授業であり、

○目標分析のあり方

○指導計画と下位行動目標のたて方

○授業過程のたて方

の三点にしぼって基本的研究の場としたものである。

(一) 目標分析表(表1参照)

目標分析改善のため、学習内容と目標の諸概念を構造的・相関関係的に一目でわかるようにしたものである。

〔内容の要素〕は、単元(小単元)目標を達成するための学習内容のまとまり、そこに内包される学習内容、具体的内容を示し〔行動要素〕は、社会科の学習能力の形成される事実・関係・概念の認識過程と技能・情意とを、そして、その両面の接点で児童が到達すべき〔行動目標〕を設定した。

(二) 指導計画表(表2参照)

目標分析に基づいて、小単元の指導過程、時限目標と下位行動目標(形成的評価とのかかわりで)を明確にする…移行措置の時数減による計画

(三) 資料一覧表

現有資料からの選択と不足資料の作成、指導過程への効果的な位置づけと活用を考えていく。

(四) 授業展開

〔課題をつかむ段階〕−−年表や地図により、二度にわたる元寇の事実や帝国形成期の元国の様子(予習的課題学習の確認)を指摘させ、元寇年表や文章資料により、元の国書に対する鎌倉武士の強い支えに立つ将軍の態度との対比で、元冠の理由を明確にし、事実認識を図る。その上で学習課題をつかませた。

〔予想(計画)を立てる段階〕−−学

 

 

 


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