教育福島0033号(1978年(S53)08月)-038page

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福島県教育センターから

社会講座研修レポート

 

一、はじめに

社会講座は、社会科教育の基礎理論・指導内容、効果的な指導法などについての研修を深め、その識見と指導力を高めることをねらいとしている。

今年度は、小学校講座二講座、中学校講座二講座、高等学校講座一講座の計五講座を計画し、次の方針のもとに運営している。

 

○教育センターとして特色ある研修内容、つまり教育センターでしかできない研修内容にしたい。

○演習を多くし、自分の手と頭脳を通して習得できるように努め、講義との相乗的な効果をねらう。

○グループ活動を取り入れるなど各研修者がじゅうぶんに実力を発揮し、研修に参加できるようにする。

○社会科教育における問題を講座の内容に取り入れるなど現状に即した講座にする。

○小学校並びに中学校の講座は、三年一サイクルの計画で講座内容を組むが適宜改善する弾力性をもたせる。

○高等学校の講座にあっては、「地理」「歴史」「政治・経済」「倫理・社会」の順に毎年一つの科目について講座内容を構成する。

 

二、小学校社会講座

この講座は、演習の質的な向上をねらって、下学年と上学年の講座にわけているが全体的な構想としては変わりがないので、一括して説明したい。

昨年度より、講座の初日と最終日に特別活動と教育相談の内容を取り入れているので、社会科の内容としては第二・三日の二日間のみとなる。この二日間を有効に活用できるように次のように計画している。

 第2日第3日
午前演習・目標分析演習・学習指導案の作成
午後実習・TPの制作と活用演習・野外観察

 

いずれのコマも講義を交えての演習・実習であるが、できるだけ演習・実習にかける時間を多くとっている。

目標を分析することによって目標をつかみ、その目標に基づいて学習指導案を作成し、その授業に使用する視聴覚教材の一つとして「TP」を製作するという一連の流れをもって講座は展開する。

運営にあたっては、研修者が研究しようとする単元をあらかじめ調整しておき、グループを編成して演習する。講師には、所員二名のほかに義務教育課の指導主事や社会科指導に造けいの深い先生を招き、相談・指導にあたる。

講座の内容は、教職員にとって最も基本的な事がらであるが、グループで時間をかけ、演習に専念することは非常に有意義であるという声を研修者から聞く。時間のたつのも忘れ、激しく議論しあい目標を求めたり、児童の活動を心に描き、あれこれと適切な指導過程を考え出したり、少しでも美しく効果のある「TP」を作ろうとアイデアを出しあったりする。その演習を通して指導内容の精選と指導の重点化の方法をマスターしていくのである。

第三日の午後は、バスを貸し切って野外観察に出る。

新学習指導要領移行措置に伴って生じた時間の活用にあたっては、観察学習にあてるなど児童の活動がじゅうぶんに行われるよう配慮すべきであるとされていることは、周知のとおりである。しかし、この観察学習は指導上問題が多い。そこで野外観察を実際に行い、研究しようというのである。

福島市街を一巡した後、信夫山に登り、その場において実際に児童を信夫山に登らせ、学習させている市内の社会科担当教師から指導を受ける。眼下に広がる市内を展望し、童心に帰って鳥かん図を作る演習も取り入れ、児童の心を知ってもらうと同時に観察が大事なことを改めて認識してもらうわけである。

 

三、中学校社会講座

中学校社会講座は、次ページ表のように計画している。

このように、地理的分野、歴史的分野、公民的分野のいずれも組み入れ、偏りのないようにしている。

 

 

 


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