教育福島0033号(1978年(S53)08月)-039page

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 午前午後
第1日 講義・日本の政治・経済の動向と課題
第2日演習・「目標分析(1)」演習・「目標分析(2)」
第3日講義・演習・「身近な地域」の取り扱い方演習・野外調査
第4日講義・古代における東アジアと日本 

 

第一日目は、ジャーナリストを講師に招へいし「日本の政治・経済の動向と課題」と題して講義を願っている。広い視野と新しい情報から日本の現状を考えようとするものであり、公民的分野の内容である。

第二日目は、教材研究のすすめ方の講義を受けて単元目標を設定し、行動目標に分析しようというのである。目標の具体化がうんぬんされている今日、その具体化には種々の手順があることを演習を通して理解する。研究単元を決め、グループを編成して演習する手法は小学校講座と同じである。

 

目標分析の実習

 

目標分析の実習

 

第三日目は、中学校社会科において問題の多い「身近な地域」の学習についての講義と演習である。午前中は講義を中心に地形図や地域資料の取り扱い方について演習を行う。午後はその研修の延長として、実地にバスで赴き野外調査をする。福島市街の南、中世の伊達氏居城として名高い大森の城山と、陽泉寺の重要文化財「木造釈迦如来坐像に史跡「下鳥渡供養石塔」を現地の教材として調査見学する。

城山に登って、眼下に広がる信夫山を抱いた信達の野に、戦国武将の描いた夢はなんであったろうか。はるか奥羽の山中を源とし、西から東に流れ、扇状地を作りだした松川、荒川。ある時は静かな流れとなって美田を潤し、あるときは濁流となって上砂を押す。今そこに人間の営みのすばらしさと自然の偉大さを目の当りに見る。

第四日目は、学問の高い香りに触れ、専門的知識を蓄えてもらうために大学から講師を招いて「古代における東アジアと日本」と題した講義を受ける。

 

四、高等学校社会講座

今年度の講座は、倫理・社会の内容で次のように計画した。

 

 午前午後
第2日協議・倫理・社会学習指導上の問題講義・宗教と人間
第3日講義・現代の思想演習・思想文化碑調査
第4日講義・社会と人間 

 

昨年度から第一日目に生徒指導に関する内容を組んでいるので社会科は第二日目から始まる。

小・中学校の講座に比べて講義の多いのが目につく。これは各専門分野における第一人者の講義を聞こうとするものである。その講義をはさむように協議と演習をおく。

第二日目の前半の協議は、授業における問題について研究協議をする。協議の内容が充実したものになるように研修者各自が指導計画等の資料を持ち寄り研究しあう時間である。

第三日目の午後の演習は、バスを貸し切り、伊達郡北部の保原町方面を中心に思想文化碑の調査を行う。

阿武隈川のはん濫原にひろがる養蚕地帯を背景に育った江戸時代の思想家の心に触れようというのである。

 

五、終わりに

以上が社会講座の概略であるが、先生がたの積極的な参加を期待するとともに、六月の講座に参加された研修者の感想を招介し、結びとしたい。

 

社会講座を受講して

福島第四小学校 高村正壽

 

教育センターと書かれた玄関を目にしたとたん、厳粛な重々しさを持つ建物のような錯覚におそわれた。教える立場から教わる立場に変わる不安な気持ちがそうさせたのかも知れません。しかし、この印象は、四日間の生活を通して、今までの研修の甘さによるものであることに気がつきました。

目標分析・指導案作成・TP製作と一連の意図的、計画的な研修内容は、日ごろじゅうぶんできないことを演習によって研修でき、現場での実践に意欲と希望を持つのに余りありました。また、講師の先生がたの教材の本質をつかむポイント、方法等は、研究の深さがしのばれ教えられることばかりでした。

子供にじゅうぶんな手だてを講ぜずに苦労していた観察学習をについても、観察のポイント・方法等について本質に根ざした野外学習を実際にできたことも収穫の一つとして忘れることができない。

もうすこし演習の時間があればという声もあったが、限られた時間の中で有意義な研修を楽しくできたことを、講師の先生がたをはじめ講座の先生がたに深く感謝いたしております。

 

 

 


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