教育福島0033号(1978年(S53)08月)-041page

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やさしい教育法令解説

授業料等について

 

一、授業料の性質

県立高等学校の全日制の課程、定時制の課程あるいは専攻料に在学する者は授業料(通信制課程の場合は受講料)を県に対して納入しなければなりません。(福島県立高等学校の授業料等に関する条例(以下「授業料等に関する条例」という)第二条参照)

そこで授業料の法律上の性質ですが、公立学校の授業料は、地方自治法上(以下「地自法」という)上の使用料の一つであると解されています。すなわち地方公共団体は、公の施設の利用につき使用料を微収することができます。(地自法第二百二十五条参照)ここで、公の施設は、住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するため地方公共団体が設置した施設で図書館や公民館がこれにあたります。使用料は、公の施設の使用に対しその反対給付として徴収される負担です。

ところで公立学校は、被教育者に対して継続的に教育というサービス(役務)を提供する教育機関であり、公の施設の一つと解されておりますから授業料は、地方公共団体のなす教育上の役務に対する反対給付であり、従って法律上の性質としては、地方自治法上の使用料にあたるわけです。(行政実例昭和二十三年八月十八日自発第六百五十二号参照)

 

二、授業料の無償

憲法上「義務教育は、これを無償とする。」との規定があり、教育基本法は、この無償の対象を授業料としております。従って、国立又は公立の小学校、中学校、これらに準ずる盲、聾、養護学校の小学部、中学部については授業料を徴収することができません。これは、義務教育については、保護者に対する子供を就学させる義務と地方公共団体の小学校、中学校、盲、聾、養護学校(昭和五十四年度から義務化)の設置義務とがあいまって、学校の利用が強制されているという観点からの措置であると考えられます。

しかし、私立学校の場合には、授業料の徴収が禁止されておりません。この場合は、公立学校への就学にともなう授業料無償の権利を放棄したものと解されています。(教育関係法1)六六ページ参照。)

 

三、授業料等に関する条例

授業料の法律上の性質は、使用料ですから、使用料に関する事項は条例で定めなければなりません。(地自法第二百二十八条)本県では、「福島県立高等学校の授業料等に関する条例」がこれにあたります。

本条例から二、三主要な規定を取り上げてみます。

(一) 授業料の額は、全日制課程、専攻科にあっては、月額三千二百円、定時制課程の場合は、月額六百円です。

(二) 授業料は、毎月、当該月の二十五日までに納入しなければなりません。

ただし、校長は、納入期限を十五日以内に限り延期することができます。

(三) 校長は、授業料未納者に対して出席停止を命ずることができます。なお、未納者に対して退学処分に付すことができるかという問題がありますが、一定の手続を経た後、退学処分にする旨の規定を条例上におくことは可能であるとされています。(行政実例昭和二十八年八月二十七日文部省地方課長回答参照。)

また、授業料の未納者に対して強制徴収することはできません。(地自法第二百三十一条の三第三項参照。)

(四) 校長は、一定の要件に該当する者については、授業料を免除することができます。授業料の免除の要件については、福島県立高等学校の授業料の免除等に関する規則第四条を参照して下さい。

 

四、入学検定料、入学料

入学検定料は、県立学校の入学校定を受けようとする者が県に対して納入するものであるがこの性質は、入学検定事務についての反対給付たる手数料と考えられます。(手数料は、普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき徴収される。なお、地自法第二百二十七条参照。)また入学料は、県立学校への入学を許可された者が入学に際して授業料以外に納入する金銭をいい、これも入学事務についての反対給付たる手数料と考えられます。

 

 

 


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