教育福島0034号(1978年(S53)09月)-008page

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の四つの柱を掲げているが、これらの重点事項は新学習指導要領の趣旨並びに方針をじゅうぶんふまえたものであり、すでに各学校では児童生徒の実態や地域の実情を考慮し、それぞれ指導計画を作成し、学習指導にあたっていることと思う。

基本方針の重点としておさえられている、小学校における「正しい運動のしかた」、中学校における「運動実践の方法」は、ともに毎時の授業の中で取り扱われなければならないものであって、それらの単位時間における学習指導上の配慮事項については、『教育福島』'77、九月号特集、学習指導の展開(2)で小学校は「楽しく充実した授業の展開」、中学校は「意欲を高める授業の展開」で教師の心構えを含めて具体的にのべてあるので参考にしてほしい。

今回の学習指導要領の改訂では、内容が大綱的に示され、教師の創意とくふうに期するところが大きい。また、学習指導では、児童生徒の側に立った指導が強調され、従来の学習指導の考え方を改めるいわゆる「発想の転換」が必要である。

本号では、新学習指導要領の意図する「これからの運動学習」に焦点をあて今後の学習指導を展開するにあたって参考となることを述べてみたい。

 

一、従来の運動学習

 

○ 従来の運動学習が、児童生徒の発育・発達を促進し、体力の向上を図るということに重点がおかれていたこと。

○ ともすれば、教師中心の鍛練的な学習に流れがちであったこと。

○ そのために、児童生徒が運動の効果や必要性を知的に理解しながらも、みずから運動を行おうとしなかったり、運動嫌いになったりする傾向が見られたこと。

 

二、これからの運動学習

 

○ これからの運動学習は、児童生徒の心身の発達に即して、運動の合理的な実践を行わせることによって体力の向上を図るというねらいをもつものであること。

○ それとともに、それぞれの発達段階において、運動の楽しさを味わわせ、運動実践の方法を身につけさせること。

○ 更に、生がいにわたって運動に親しみ、明るく豊かな生活を営むようにしむけていくことが必要であること。

このことは、体育における人間形成の問題が新しい観点から考察され、スポーツその他の運動が、学校卒業後の生活内容として重要視されるにいたって、運動のもつ体力つくりの面のみを強調するいき方が問題にされ、体力つくりか、学習内容の内面化かの二者択一ではなく、学習内容の内面化と同時に体力つくりが行われる学習の必要性が強調されてきたものと考えられる。

ところで、体育の学習における重要なねらいの一つは、教材として選ばれた運動のもつ技術やルール・マナー・健康・安全のために必要な行動様式、関連する知識などを内面化することであるが、同時に、運動はからだの発達にとって不可欠であり、いわゆる「からだつくり」としての重要な一面をもっている。

このことが問題とされてから十数年を経るが、実際には、単に運動を経験させるだけで、学習内容の内面化がじゅうぶん行われず、しかも、からだつくりに必要な運動による学習活動が不足した授業や、学習内容が不明確で、体力つくりのみの学習活動がしばしばみられたわけであり、今回の改訂であらためて学習内容の内面化と同時にからだつくりをする授業が強調されたとみることができよう。もちろん、この場合、新しい体育・保健体育の目標から学習内容をどう具体的にしていくかが問題となるが、ここに指導者の創意とくふうが必要であり、その実践に意欲的に取り組むよう努力しなければならない。

ただ単に、内容の削減や指導事項の削除、教材の選択と弾力的な扱いとか従来の教材の集合体といった安易な受け止め方、考え方ではなく、ねらいをじゅうぶんに理解し、運動の特性に応じた教材づくりをしてほしいものである。

 

家庭 技術・家庭

 

小学校

 

作る喜び味わわせる小物作り

今回の学習指導要領の改訂で五年生の被服教材として「袋作り」に加えて「小物作り」がとり入れられた。これは、児童に作る喜びや、手作りの物を使う喜びをじゅうぶんに味わわせる教材としてその価値は大きい。

この教材の指導について福島市立野田小学校の実践を紹介する。

 

一、小物作りの位置づけと技能の重点

 

小物作りをボタンつけと袋作りの間に位置づけ、技能指導の重点を表1のようにおさえた。

 

表1 技能指導の重点

表1 技能指導の重点

 

 

 


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