教育福島0034号(1978年(S53)09月)-010page
中学校
本年度は、新学習指導要領に基づく移行第一年次であるので、移行期における学習指導計画の作成及び学習指導上の配慮すべき事項を述べる。
一、学習指導計画作成について
この教科の大きく改訂された点の一つは、技術系列と家庭系列に再構成され、十七の額域になったこと。
二つには、男子は家庭系列から一領域以上、女子は技術系列から一額域以上それぞれ履習する相互乗り入れ。三つは、学校、地域の実態に即した学校の裁量が拡大されたことの三点である。
移行第一年次である今年度は、現行の各領域を全部実施し、各領域の特質をじゅうぶんに研究し小学校・地域の実態から領域の内容に検討を加え、年次計画を立てて次年度より移行していき、五十六年度には円滑に完全実施ができるようにする。そのためには次の方法が考えられる。
(一) 五十三年度
二年、三年は現行通りとし、一年男子の製図は三学期に実施する。一年女子の住居は現行又は新学習指導要領(以下「新」とする)で実施する。
(二) 五十四年度
一年は男女とも新で実施し、二年男子は現行四領域を実施、女子は新に基づき被服2、食物2及び機械1又は現行の家庭機械とする。
(三) 五十五年度
二年男女とも、可能な範囲において、新で計画するが、教科書との関連をじゅうぶんに配慮すること。なお、時間数についても弾力的に取り扱うよう配慮する。
二、学習指導の充実について
この教科は、実習が学習活動の中心となるので、題材の選定はもとよりのこと学習の展開に当たっては、次の事項に配慮して指導に当たること。
(一) 学習課題を明確にし、各自に自己の学習の明確な目的意識をもたせる。
(二) 計画の段階では、目的に即して形状、寸法、材料、構造、加工法、費用など具体的な手続きを踏んで生活に有用なものを作るという考え方に基づいて計画を立てること。
(三) 製作に当たっては、計画の段階を尊重し、生徒が自分の考えをもち、その意図に従って実践し、みずからの能力に応じて効果的な学習が進められるように指導すること。
(四) 整備的学習では、具体的な体験を通して学習対象に関する正しい概念を組み立てさせ、その基礎の上に実際の機器ではどうなっているかを観察させ、その中にはたらいている原理性や、法則性を読み取らせるように指導する。
いずれの領域の学習においても、生徒みずから思考する時間と機会を豊富に与え、思考力、実践力を高める必要がある。
外国語(英語)
最近しきりに外国語の指導が難しいとの声を聞く。ベテランの教師でも、会心の授業となると、年に数回であるとさえいわれる。その原因の第一は、クラスの生徒に大きな能力差があることにある。全生徒を自分の視野のなかにとらえながらも、常に一人一人の生徒の反応を心に確かめ、彼らの可能性を追求していかなければならない難しさなのであろう。そして、外国語指導法といわれるものの種類は多く、それぞれの方法がその発生の理由と根拠を持つけれども、いつでもどの生徒に対しても唯一絶対的な適合性を持つとは限らない。
今回も前年度の「学習指導の展開」を踏まえながら、もっぱら、教師・教材・生徒の三者関係において成立する指導という視点からおおかたの先生がたの参考にと三本の柱を立て、それぞれ努力していきたい内容を掲げてみた。
一人一人の生徒をして教材をなめらかに習得して自由に使いこなせるようにするためにはいかなる手だてがあるかを考えてみたわけである。
一、精選した教材の配列に留意する
(一) どの課も三領域の調和をとった計画をたてるのではなく、ある課は「聞くこと、話すこと」を中心に、ある課は「読むこと」を中心に指導して、学年を通してある程度の調和が保たれるように計画したい。調和を保つとは、それぞれの領域の指導時間の量的均一性を意味するものではない。
(二) 当該学年より前の学年においてその教材の指導の準備をしておくのが有効であると考えられる場合には、初歩的な形で取り上げる。例えば、二学年で動名詞のうち動詞の目的語となるものを取り扱うことになっているが、その指導の過程で、主語となるものや補語となるもの(三年扱い)について軽く触れておくことはかまわない。
(三) 画一的に言語材料を取り上げ言語活動を行うことをさけ、週、日、学期学年ごとに「反復して練習させる」ように計画したい。また、その学年において繰り返して指導するだけでなく、それまでの学年のことも合わせて反復指導するよう計画することがたいせつである。
二、表現力育成のため言語活動の実証的研究を深める
コミュニケーションのために欠くことのできない「英語を聞いて必要な内容を聞きとる聴取力」と「書かれていることの内容を読みとる読解力」の基