教育福島0034号(1978年(S53)09月)-011page

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礎の上に英語で表現する力が身につくものである。表現力育成のためには、文字言語、音声言語の両面から教師の創意くふうを加えた指導が望まれている。

(一) 話題の中心をとらえて、あらましの内容を聞きとる機会を多くする。相手の意向を聞きとってそれに対応した内容が伝わるように話をする「聴取理解」の訓練方法をくふうする。

(二) 書かれている内容を全体として読みとる過程を重視する。読む力の素地を養うために、英語学習のかなり早い時期に読みの訓練を導入する。従来、一文ずつ読みとることが多かったが、全体としてまとめて読みとることを重視する指導方法を確立したい。重箱の隅をつっつくような、いわゆる暗号解読式の授業では、ある程度以上の知能をもつ生徒しかついてこれないが、全体から部分を理解させる態度ならどの生徒もついてこれよう。

(三) 生徒の実態をじゅうぶん考慮しながら指導の展開に創意くふうを加えたい。

すなわち、指導過程の固定化を打破し、時には「話すこと」に思いきって重点を置いて課全体の内容について短く述べさせる方法を採用したり、場合によっては、既習事項を用いて、自分の身近かなことなどについて話すことや、書くことに重点をおいた指導過程を組み立てるなど、それぞれ独自のものをくふうすることが望ましい。

 

三、四技能が生徒に成立しているかどうかを知るため、たしかめと評価を適切に行う。

 

(一) 定期的に行われるテスト等において、その一部分を、聞きとりのテストすなわち音声でなされる質問に対して音声で答えさせるというような形で、話すことの基礎をみるテストにあてることを考えてみたい。あわせてこれを可能にさせるための教師間の協力体制をつくっていきたい。

(二) グループとしての評価を有効に活用することを考えたい。たとえば、班学習において、それぞれの班を一定の到達目標に達すべく努力させ、その結果を教師が積極的に評価する。その過程を通して、班内の協力関係と、班と班との間に適度な、なおかつ望ましい教育的刺激を与えるくふうができる。学習が最終的には一人一人の生徒において成立するものでなければならない以上、評価も基本的には一人一人においてなされるものであるが、評価そのもののあり方を有効な動機づけとなるよう前述のような方法を考えてみたいものである。特にこの方法は、クラス内で英語の音声発表の種々の方法の中でくふうしてみる必要があろう。

(三) あくまでも、評価のための評価にならぬように留意し、その積極的活用を考えたい。そのためには、時々できあがった評価をどう受けとめ活用すべきかを冷静に検討する時間を持ちたいものである。

 

道徳

道徳教育のねらいを達成するためには、学校教育活動全体を通じて行う道徳教育の基盤の確立とあいまって、道徳の時間の指導の充実を図らなければならない。

今回は、この基盤確立と指導の充実を図るための指導計画作成に視点をあてて述べる。

 

一、計画作成の共通化を図る

 

全体計画も年間指導計画も、全校的な作業によって行われなければならない。ところが、作成を急ぐあまり、一部の教師の原案を形式的に承認することでできあがることが多い。原案は、一部の人によることもやむを得ないが、多少時間をかけて、一人一人の作業、役割分担、討議を経て作成することが重要である。全員の共通化を図って作成された指導計画は、日常指導に活用されることを改めて考える必要がある。

 

二、指導の重点化を図る

 

指導計画の中心は「重点化」ということの吟味なしにはあり得ない。

つまり、総花的、コマ切れの道徳の時間の指導では、実効は期待できないのである。道徳教育は、学校教育全体を通じて行われなければならないことは当然であるが、三十五時間の指導内容を一本につなぎ、要所に節目をつけておく重点化がたいせつである。

 

三、指導の系統性を重視する

 

指導計画を縦に見て、発達の系統性をよくとらえておく必要がある。学年を見通すと、心身の発達と経験の広まり、深まりに大きな差がある。この事実をよくとらえ、段階を追った指導を考える必要がある。四年の指導が三年の指導より次元が低かったり、一つの主題がある学年で切れ、指導されなかったりすることのないようじゅうぶん配慮する必要がある。

 

四、発展性を重視する

 

系統性を学年という縦としてとらえるとするなら、発展は、指導項目のつながり方と見ることができる。

つまり、すべての主題が、バラバラであってはならないということである。重点内容を中心に、いくつかの同心円を構成していくことがたいせつである。

 

五、弾力性をもたせておく

 

弾力性をもたせておくということは、自分勝手にその場の思いつきで指導するということではない。指導の大すじに変更はないということを前提と

 

 

 


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