教育福島0034号(1978年(S53)09月)-012page
して考えなければならない。
この大すじからはずれないかぎり、児童生徒の実態、特性等から、より望ましい生活経験、資料を得た場合、これによって指導法も、これに合ったように変えていくということである。
六、他領域との関連を重視する
教科領域との関連もじゅうぶん考慮しておかなければならないが、生徒指導、学級指導、児童生徒活動等とのかかわり合いをじゅうぶんにつけておくことが、学校教育全体を通じて道徳教育を進めることにつながることを認識しておかなければならない。
なお、学年と学年との関連を考慮した計画の作成ということも重要なことである。
七、補充、深化、統合のはたらきを重視する
年間指導計画で、それぞれの主題は、なにを補充し、深化し、統合しているのかを吟味しておく必要がある。
実践のよりどころとなる指導計画をいろいろな角度から検討して、よりよいものを作り上げていくことが、計画実践・評価のサイクルが、現実に指導活動に生きてはたらいてくるのである。
道徳教育の重要性を是認しながらも指導計画作成に甘さが見られるのではないだろうか。道徳教育充実のため、このことについて立ち止まって考えてみる必要がある。
特別活動
特別活動は、一人一人の児童生徒の望ましい人格の形成を図る上で、各教科、道徳だけでは達成できない、人間形成に重要な教育活動を組識、編成して設定された教育課程上の一領域である。
従って、指導に際しては、特別活動のもつ教育的意義や価値を正しく認識し、各教科や道徳とは異なった特質をじゅうぶんに生かした指導が、適切になされなければならない。
特別活動の基本的な性格として、次のようにあげられている。
○ 教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間的な接触を基盤とする教育活動である。
○ すべての児童生徒のそれぞれの人格のよりよい発達を目指すための教育活動である。
○ 児童生徒の個性や能力の伸長、協力の精神の育成などを図る自主的、実践的な活動である。
○ 健康な心身、勤労尊重の精神、社会連帯の精神などを育て、公民としての資質を高める教育活動である。
○ 学校の創意と教育的な識見を生かし、地域、学校、児童生徒などの実態に即して弾力的に実施できる教育活動である。
各学校においては、これらの性格や目標、内容を正しく理解し、全教師が同一の歩調で指導に当たることが必要である。また、自校の教育目標との関連を図りながら、地域、学校、児童生徒などの実態に即した具体的な特別活動の重点を定めて、教育課程上の位置づけを明確にし、その学校の特色のにじみ出た目標を設定し、指導の適切な方向づけを図ることがたいせつである。
なお、目標の「望ましい集団活動を通して」の望ましい集団活動とは、集団の各成員がこの中に埋没することなく、相互に人格を尊重し合い、民主的な手続きによって、集団の規律を高めていくような集団活動であり、「望ましい集団活動を通して」の後に続く目標の部分を達成するような集団活動と考えられる。
次に児童・生徒活動、学校行事の全般的な指導上の留意点をあげると、
一、児童・生徒活動における指導上の留意点
(一) 常に、児童生徒が自分たちで考え、自分たちで決め、自分たちで実行し、更に、活動の結果についても責任をもち、児童・生徒活動の全般の充実や改善向上を目指すようにする。
(二) 平素から、教師と児童生徒の人間的な接触を図り、児童生徒理解を深め、特に児童生徒を内面から方向づけるようにする。
(三) 一人一人の児童生徒に、この児童・生徒活動の意義をじゅうぶんに理解させ、全児童生徒が自発的、自治的に各活動を実践していくようにする。
(四) 使用する施設設備に危険はないか、児童生徒の利用に無理な点はないかなどの点を絶えず見届け、必要な対策を講ずるとともに、常に児童生徒の健康や安全に留意し、事故の防止に努める。
二、学校行事における指導上の留意点
(一) 学校行事においては、児童生徒の健康や安全を考慮し、特に負担過重にならないようにする。
(二) 事前及び事後の指導を適切に行い、実施する行事のねらいを明確にし、その意義を理解させ、積極的な活動の意欲を育成する。
(三) 学校行事の計画、準備、実施、その反省などの各過程において、児童会・生徒会活動などとの関連を図りつつ、児童生徒にとって可能な範囲内で自主的な活動を助長し、個々の児童生徒の事後の積極的な活動を促し、自主的な協力の気風を養う。
(四) 地域社会の要請と関連する学校行事については、学校全体の教育計画との調和という観点から、その教育的な価値についてじゅうぶん検討する。