教育福島0034号(1978年(S53)09月)-013page
幼稚園
幼稚園教育
心身の発達差が大きい幼児期の教育は、一人一人に応じた指導をすることが基本になければならない。そのためには、一人一人の発達の度合い、考え方、行動を理解するように努め、幼児の興味や欲求を満足させるようにするとともに、どんなことをどの程度幼児に身につけさせるか具体的な目標を設定して、指導にあたることがたいせつである。
ここでは指導する際に留意すべき諸点を掲げることにする。
一、興味や欲求をとらえる
幼児が意欲的に取りくむのは、興味や欲求のあるときである。興味のあることには好んで働きかけるが、もたないものからは遠ざかろうとする。そこで一人一人の幼児がどんなことに興味や欲求をもっているかをは握することがたいせつである。
○ 幼児といっしょに遊んだり、考えたり、かたづけたりしながら、教師と幼児との心の結びつきを図り、どんなことに興味や欲求をもっているか内面的な理解に努める。
○ 幼児が活動に集中できる時間はどのくらいか、またどのくらい活動すれば満足するか等を活動別にとらえ、その実態に合った経験や活動を選択する。
二、経験や活動の選択を適切にする
効果的な指導計画を作成するためには、最も望ましい経験や活動を選択し配列しなければならない。
○ 幼児が興味や関心をもって喜んで取り組むものであること。是非経験させたい経験や活動には、環境構成助言等をくふうし興味や関心をもたせるようにする。
○ それぞれの経験や活動についてその特質や教育的な意義を明らかにし、時期、内容、指導法についてじゅうぶん検討する。
ボール遊びを例にとると、入園当初のように安定する場を求めて遊ぼうとする時期には、ボールの感触やボールを持って遊ぶことで安心するという意味があり、友達を求めて遊ぼうとする時期には、友達とのかかわりを可能にする活動としての意味があり、友達と協力して遊ぶ時期には、グループで遊び方をくふうしていっしょに遊び、遊びを深めていくという意味がある。
○ 幼児の興味、能力等によって多様な取り組みができる経験や活動を選択し、幼児がみずから難しいことに挑戦したり、くふうしたり、努力したりしてやりとげた満足感をもたせるようにする。
三、個々の幼児の発達段階に応じた指導に努める
○ 「みんなといっしょ」「先生の言うようにする」等形式だけを整えるのではなく、一人一人が自分の考えていることができるように環境を整えること。
○ 幼児の発想やくふうを認め自信をもたせるようにする。幼児が疑問をもったり、考えたり、くふうしたりする等の経験をもたせるようにし、幼児なりにくふうし、努力したことを認め、ほめたり励ましたりする。
○ 興味や欲求を誘発したり、期待感をもたせたりする環境構成に努め、幼児が自主的に経験や活動に取り組むようにする。
○ 「またやろう」「○○をしておもしろかったね」など幼児の会話や遊び等の様子から幼児の心の動きを読み取り、次の活動への発展を見通した準備をしたり、物の提示をしたりする。
これらの指導は、教師と幼児、幼児と幼児との人間関係を基盤にして行われるものである。
従って、常に幼児との心のつながりをもつように努めることがたいせつである。
高等学校
社会
学習意欲を高める授業の実践
福島県立福島高等学校教諭 高野弘道
はじめに
どの科目でも授業を進めていく上で、いかに授業内容を生徒に興味づけ、主体的に学習する態度を培うかが大きな課題であると思われる。この課題解決の一つの試みとして昭和五十年度より「発表学習」を導入してきた。
また、地理Bの学習では、地誌を中心とした内容なので、海外の事情や世界の国々の新しい動きなどについて、具体的で、より新鮮な学習をする必要にせまられ、昭和五十一年度より、教育テレビの「現代の世界」をつとめて授業に取り入れる努力をしてきた。いわば、前者の「発表学習」は生徒に主体性を持たせた学習方法であり、後者の教育テレビの利用は担当教師が主体