教育福島0034号(1978年(S53)09月)-017page

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合、又はあっても数台だけという場合には、各グループに数は人数分で、型の種類は話し合いで、幾通りかの打ち出しに使用できるだけの木型を製作させる。桂・朴など木彫り材料の残板に、円・楕円・正方形・長方形・菱形・三角形の基本形を描き、印刀と耳なし平刀で皿型を彫り、サンドペーパーで滑らかにする。

2) 素材加工の際、交換して使用するので、自分だけでなく友達が安心して使うことができるよう、ていねいに製作する。

3) この型は、授業のつど数量が増すので、あき箱に保存し、次の機会に利用し、木型製作の時間を省いてもよい。

(四) 打出し成型

1) 木型使用の打ち出しでは、いも槌を用いる。一気にたたかず、徐々にたたいて皿型にふくらみをつける。なぜふくらみが必要かを示す。

2) 打ち出し模様を作る場合は、必ずしも素材をなます要はなく、釘、たがねなどで打ち出せる。

3) 打ち出しができたら、グラインダーや金工やすりで周囲のでこぼこを取り除き、フォルムを整える。

(五) 釉盛りと焼成

1) 素材(銅板)を洗うのは、台所用ボンスターがよい。サンドペーパー二百四十〜三百番を使ってもよい。焼きなました場合は、硫酸を水に薄め一〇パーセント程度の液に入れ、酸化皮膜を取り去る。

2) 釉盛り絵つけの作業をする台は、シナベニヤ板を生徒一人に六×五センチメートルに切ったものを配り、表面に三角刀でたて・よこそれぞれ四〜五本の溝を彫って使用させる。五〜六センチメートル角の厚紙で代用してもよい。

3) 裏引き釉はCMCのり約五百倍に希釈した液で湿めらせ、しっかり定着するようにする。

4) 釉の粒子に大小の差が大きいと発色が悪くなるので、米をとぐ要領で水洗いをする。

5) 釉盛りはうすく、かつ粒子がそろうように、むらなく盛りと盛りの間を軽く押すようにつける。(厚さ○・五〜○・八ミリメートル)

(六) 仕上げと反省

1) 焼成後まわりに流れ出た釉を、グラインダーや金工やすり、耐水ペーパーで注意深く除去する。

2) 金具類を裏面に接着する場合や、木彫りの作品の一部に七宝焼をはめ込む場合は、二液性速乾の接着剤の取り扱い方を全員によく指導する。

(七) 応用作品の製作

1) 授業における七宝焼では、まず、ペンダントやブローチなど装身具の製作から始めるのが普通だが、これを単品デザインの段階にとどめず、いくつかの部分から成るような、組み合せデザインも考案されてよい。そうすることにより、木彫りの装身具、壁飾り、状差し、ブックエンド、小箱などにはめ込むよう計画的に、木彫工芸と並行して授業を展開することができる。これらの工芸の中で、目的・用途・機能をふまえ、素材を加工し、配色し、適合させる七宝焼こそ学校においては扱わなければならないものであろう。

2) 最初に用意する釉の色数はなるべく少なく、確実に釉盛り焼成ができるよう制限を加え、徐々に色数を増し、発色を研究させ、自由にかつ幅広く配色をこなせるように、表現技法の応用範囲を拡大させるように配慮する。

 

三、生徒に失敗させないために

 

失敗を恐れていては、のびのびした表現はできないし、慎重すぎては、固く味気ない表現になってしまうが、七宝釉は値が張るので、あまりむだな使い方はさせたくない。電気炉の無理な使用から、せっかくの作品をだめにしてしまうこともある。そこで、これまでの授業の中で得た注意点をひろってみる。

1) 前もって生徒の各グループにリーダーを選出させ、用具の準備方法や点検のしかた、七宝焼の手順を実習させておく。この場合、後始末までも含めて、ポイントをよく伝授する。

2) 電気炉は温度計のついているものを使用し、グループの中の係の生徒に読みとらせ、温度を適温に保つようスイッチの断続をさせる。

3) 釉盛り用ホセは、生徒一人当たり二〜三本あて準備し、ホセ洗い容器は一人に一個以上の数が必要である。ポリ製コップがよく、常ににごりのない水を心がけさせる。

4) 使用後のホセは、先端をいためないよう、洗ってからとがった方を上向きにしてあきかんなどに立てておく。

5) 素材(銅板)を洗うために用いるボンスターを小さく切るときは、はさみで切ること。素手でひきちぎろうとするとけがをする。

6) 釉盛り後の脱水乾燥を能率よく行うために、ヘアドライヤーを用いる。

7) 釉盛り完了後、金網に移すときは、大きめのパレットナイフで静かに慎重に移すようじゅうぶん注意し、炉に入れるときは、必ずクラを使いその上に平らに載せる。

8) 先に作った絵つけ台で釉盛りができないようなフォルムの素材では、直接にクラの上で釉盛りし、乾燥後、そのままクラごと網に載せ焼成するとよい。

9) 水分が不足して釉盛りが困難になったときは、三○〜四〇センチメートルほど離して、霧吹きで水分を補う。逆に水分が多すぎる場合は、ティッシュペーパーの端を触れるようにして吸い取るようにする。

10) 金網に作品が焼きついたときは、

 

 

 


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