教育福島0034号(1978年(S53)09月)-018page
ペンチ(ラジオペンチ)を両手に持ち、金網をねじるように動かせば、作品はすぐにはがれる。
11) 金網に焼きついた釉は、木槌でたたき割る。同時に網と常に平らに保つことができる。これもグループの係生徒に責任を持って担当させる。
12) マーブル七宝やフリット七宝の際は、八百度を少々出る高温まで上げてから炉に入れ、じゅうぶん釉が溶けてからマーブリングする。ピアノ線の先は、ペンチで斜めに鋭く切って使用し、そのつど先に付着した釉をはぎとっておくこと。
13) 焼成後、表面に陥没が生じたり、ひび割れがあった場合、表面に直接指を触れてよごれをつけてしまわないように注意し、そのまま再度釉盛り補修をさせる。
14) 素材に絵つけのための下絵線描をするときは、鉛筆を用いさせないで、エッチング針などで描くようにする。鉛筆を用いるとどうなるかを実際の作例で示すとよい。
四、用具、材料と管理
1)素材及び素材の成形に必要なもの。(◎印は最小限必要なもの)
◎銅板、金、銀、真ちゅう
◎金切りばさみ=直刃と柳刃
◎金工やすり、◎手袋
◎金ブラシ、耐水ペーパー
◎サンドペーパー、◎いも槌と木槌
◎ボンスター、釘、やに台、たがね、硫酸と陶製容器、プンゼンバーナー、
2) 釉盛り絵つけに必要なもの
◎不透明釉、◎透明釉、◎CMC、◎裏引き釉、◎ヘアドライヤー、◎ホセ、◎絵つけ台、◎水差しと霧吹き、◎歯科用ピンセット、スポイト、筆、
3) 焼成に必要なもの
◎七宝電気炉、◎大型ピンセット、◎金網とクラ、◎パレットナイフ、◎ペンチ、◎石綿板または耐水れんが、五徳、マーブル用ピアノ線、ブンゼンバーナ、
4) 仕上げに必要なもの
◎グラインダー、◎金工やすり、◎耐水ペーパー二百四十〜三百番、◎二液性接着剤、
○ 普通の七宝焼なら、厚さ○・三〜○・五ミリメートルの銅板が加工しやすく適当である。
○ 電気炉は使用後、内部を清掃すること。使用ずみの歯ブラシで掃除するとよい。
○ 釉は必要分量を、別の容器にそのつど取って使うのが理想だが、授業では煩わしくなるので、セット釉のパックに水を差し、洗いながら使うが、ふたを取ったら必ず底に当て、移動するときはともに移動するよう心がける。
○ 半透明釉や銀用釉は、必要に応じ備えていくようにする。
○ 透明釉は一度水を差し使用すると乾燥後再び溶けにくくなるので、常に水を張って置くか、使用する分量をそのつど取り、溶いて用いるようにしたい。
五、終わりに
中学校、高等学校における七宝焼の表現技法の取り扱い得る種類は、グリザイユやマーブル、噴釉七宝を含む、いわゆる釉彩七宝と呼ばれる技法と、フリットやスレッド七宝のように固形釉薬を載せて焼くものから、箔七宝程度まであろう。それ以上の技法は必要でなく、むしろ美しい発色、配色のくふう、釉彩七宝に重点を置いて楽しい授業を展開した方が、創造活動を活発にする近道であると思う。
紙面の都合で、表現技法上の授業の中での留意点を、その種類ごとに述べることができないのが残念だが、七宝焼は、生徒の装飾欲求を満してくれるものなので、ややもすると手先の小細工に終始するもののように、思われがちだが、しかし、デザインし、銅板を切り、打ち出し、絵つけしたり、木彫りとの組み合せを考えたり、総合プランを練り、創作していくなら、生徒にとって真に魅力のある教材となろう。
家庭
献立作成の学習指導
福島県立須賀川女子高等学校教諭 吉田智子
家族構成と献立の学習は、指導配当時間が少ない割に総合的な力が必要であり、奥深い単元である。また、いっせい授業の形態をとりやすく生徒は受身的な学習に終わりやすい。従って、できるだけ生徒が主体的に活動できる場を作り、自分たちで作業し自分たちで問題点をみつけ、解決のくふう点を見いださせるような学習のさせ方を試みた。
一、生徒の実態
家族構成からみると、拡大家族が五六%と多く、二日分の食事記録より食生活をみると割合に内容豊富である。生徒の家事への参加度をみると、家事従事時間平均二十六分、その中で炊事を手伝うもの一〇%位で家事実践が少ない。献立作成についての難易の調査では、困難と答えたものが八五%もあり