教育福島0034号(1978年(S53)09月)-020page
じて、いつまでも長生きしてもらうための娘心を盛り込んだ発表であった。図表等もよく、点数法の理解に役立ち、生徒の中には肥満ぎみなのでこの点数法を研究してみたいなどなかなか好評であった。いずれも、調理した実物を準備し、重量等についての学習もなされたと思われる。
○「食生活の周期」としてのまとめは、教材を精選集約し、本時の学習のねらいを明確にとらえさせるくふうとして、家族の献立作成上の特色をそれぞれ色別用紙にまとめ、視覚にうったえ学習効果をあげようという意図で授業中に使用した。また生徒の発表の中にも利用させ、学習のフィードバックの効果をねらったことは効果的であったと思う。
○食品の概量、重量の学習の機会を多くもたせようと思い、実物の提示をさせたが、教師が思っていたほどたいへんではなく、よく準備していた。他人の用意したものを見るだけでは力はつかず、自分が手がけ苦労して用意することに学習の定着の効果を期待した。
○各グループは、短い研究時間にもかかわらず教師の思うペースにのりよく活動した。発表を終わった生徒の顔は、いずれも明るく楽しいふんい気で、充実感にあふれているようであった。発表を通し、総合的に考えていく力をつけさせたいと願い指導にあたったが、いちおうの成果はみられたのではないかと思われる。
本時の発表は、三グループだけにとどめ、他のグループは、資料、実物の展示によって発表にかえたが、他のクラスでは、時間がかかっても全グループ発表させ効果的であった。生徒の活動がここまで深まってきたので、中途で終ることなく配当時間を多く取るくふうをし、指導計画をもう一度見なおしたい。
養護教育
はじめに
前回、コミュニケーションの状況において発信、受信される信号系を構成原則による分類とこれにかかわるいささかの解説を試みた。ここでは、ある生体に、ある時ある行動種が発現して、それが強力に進行するときは、その生活体において特定の主体的条件と、特定の環境的条件とが相伴っていると仮定して、生体系内外の特定状態を信号源とした諸信号の処理、配合の条件規定を受けておこる行動体制種について概観してみようと思う。
一、文芸作品のなかの生命過程の描写
ゲーテは、ウェルテルをして「鷲鼻と団子鼻との間に無数の変化があるように、ぼくらの気持ちや行動の仕方は複雑だ」と言わしめている。ヒトの行動は、アポロ計画で実施された前人未踏の月面探索から、ヒステリーの発作で失心してしまう、否、それどころか生命活動の終止にいたる行動種まで千態万様の行動型をあげることができる。
以下、簡明を期すため、行動種の描写を文芸作品に求め、それらを調整度の面から少し解説していくこととする。
(一) 寝食を忘れて死に至る
日本列島の消滅を目前にして、D-2計画(日本人国外避難計画)のメンバーに加わった社会学者の福原教授らが政府要人と学者グループの間をとりもつ正体不明の老人にその報告書を提出したあと、次のように描かれている。
「あの…」と記録係の男がいった。
「もし、よろしかったら、先生方を休ませてさしあげていただけませんか?−何しろ、不眠不休だったので……」(中略)
「花枝…」老人は、強い声でいった。「すぐ医者を呼べ。あの三人の診察をさせろ」
老人はすぐ邦枝と書類をもって東京へ行くことにした。出発の準備をして門のところまで老人の車椅子をおしてくると(中略)、背後からあわただしい足音が聞こえ、花枝という娘がだだならぬ血相で車にかけよってきた。
表2 授業課程