教育福島0034号(1978年(S53)09月)-036page

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アメリカにおける地方教育委員会と学校

今野鉄男

 

四年前の九月の新学期に私はアメリカの中西部コロラド州の新興都市コロラドスプリングズ市の公立ミッチェル高校を二週間ほど見学した。

その学校の休憩室の片すみに市教育局で出した『教育委員会の方針と行政手続』がおいてあるのが目にとまった。そのころ私はアメリカのカリキュラム行政に関心を持っていてアメリカへ行ったついでに少しばかり資料集めをしていたので、その規則集をペラペラめくりカリキュラム行政に関係のあるところの「教授、教育課程」を読んでみた。するとカリキュラム編成面での市教委の役割ないし任務が書いてあって私が探し求めていた貴重な資料があるのにすっかり喜び、早速校長の許可を受けて必要な部分をゼロックスでとって日本の我が家まで持ち帰った。

その資料がまだ私の手もとにあるので本稿ではそれをもとにアメリカにおける郡市教委と学校との関係をカリキュラム編成の面から調べてみたい。

 

一、教育課程

 

専門職員によるカリキュラム研究は次のような要因によって導かれるべきこと。

1 当地区の児童生徒の必要に関する実際的研究と情報

2 児童生徒の能力・適性・興味の領域

3 児童生徒に対する地域住民の強い要求

4 児童生徒が将来合衆国のどこにいても役立つ教育を提供すること。

1)教育委員会は、各種の学校レベル間の仕事の重複は排除されるべきこと、及び学習指導要領が効果的に調整されるべきことを希望する。

2)教育委員会は研究会、研究団体、外部の助言者からの援助のような手段によって学校当局がカリキュラム研究の援助をする機会を提供することを奨励する。

この項の前半では専門職員〔教委指導主事、カリキュラム専門官、各学校の教科主任及び一般教員等〕のカリキュラム研究の要因ないしポイントが記されている。

後半の1)ではカリキュラム編成上の仕事の重複の排除及び各学校各教科の指導要領の調整役を教委が行うべきことを暗示している。2)では学校当局のカリキュラム研究の機会提供の奨励役を教委は行っている。

 

二、改革計画の指針

 

1)実験的研究の実施、評価及び改定は指導職員の必要な助言を受けるべきこと。

2)上級の行政レベルの指導職員によって提案された変更又は研究の再検討のための諸規定が制定されるべきこと。

3)地区のカリキュラム研究や実験の結果は適切に広められ、現行のカリキュラムと調整されるべきこと。

4)成功した研究計画の実施は必ずしも目下進行中の他の計画にとって代ることはしないこと。

 

三、教科領域

 

小学校、中学校、高等学校の教科領域は次の通りにすべきこと。

○小学校

1)読み方 2)ことば 3)綴り 4)書き方 5)算数 6)理科 7)社会

 

コロラド州公立ミッチェル高校

コロラド州公立ミッチェル高校

 

 

 


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