教育福島0034号(1978年(S53)09月)-038page

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福島県教育センターから

小学校理科A講座の授業研究

 

一、はじめに

 

この研修講座は、理科主任を対象に前期・後期の八日間にわたって実施しているもので、その内容は、教科経営に関することや実験・観察の実習を含む学習指導に関することを中心とするものであったが、その内容をさらに拡充する意味で「授業研究」の演習をとり入れ、学校の研究実践に役だてることをねらいとして設定したものである。

ひと口に「授業研究」といっても、研究のねらいによってはいろいろなしかたがあり、一律に適用できる方法を見つけることは不可能なことである。基本的な構想や手順については、共通なものはひき出せるが、授業分析の方法、特に考察の方法や記録のとり方になるとくふうが要求されるところである。

ここでは、授業研究の構想・手順と準備、記録のとり方を中心に、演習の内容を紹介するので、学校では職員数や時間的な条件を考慮して実践されるようにしてほしい。

 

二、授業研究の構想・手順

各学校で行われる授業研究の過程を予想して、次のような手順を基本に考えた。

(一) 研究目標の決定と研究上の条件の整理

解決の「ねらい」と問題現象(行動)の関係要因の整理。必要な概念規定や用語の解釈をしておく。

(二) 授業研究の方法の選択

研究目標との関連で、おおすじになる解決方法をきめる。

(三) 対象授業の決定

研究目標や方法から考えて、授業研究のねらいを達成できる学年・単元・内容をきめる。

(四) 授業実施の計画と準備

(いわゆる事前研究)

○ 教材研究、児童生徒の実態は握

指導案作成の土台になることと授業実施前後の比較等に関する準備をする。

○ 授業の観察(記録等)計画の決定

授業記録の内容と要領、考察方法の概要を含む。

○ 指導案の作成 研究のねらい資料収集にみあった指導案を作成する。

(五) 授業実施

授業の観察計画に従がって記録をとる

(六) 授業記録の整理、報告と考察

((七)を含めて事後研究)

教師の機能(条件設定)と児童生徒の行動の関係考察、授業前後の比較。

課題解決のさぐり出し等研究のねらいに応じた考察判断をする。

(七) 授業改善の方法の設定

今後の具体策をもつ。授業実践に移す内容を明確にする。

三、授業研究(演習)の実際

授業研究の構想・手順にもとずいた実践(演習)の大要は次のとおりである。

(一) 研究目標の決定と研究上の条件の整理

本年度の授業研究の目標は次のようにした。

 

学習課題を解決する過程で、一人一人の児童が主体的に活動できるようにする。

 

学習課題を的確には握させる、解決したいという意欲を喚起する、積極的に活動させる、という三点に主体的な活動の重点をおき探究的な学習過程のしくみ方を問題にすることにした。

(二) 授業研究の方法の選択

○ 望ましい学習過程と指導のくふう(条件・原因)に対し、児童の活動(結果のあらわれとみる)のようすをとらえる。すなわち指導案に示す教師の機能(活動)と児童の行動を対応させて改善の具体問題と方法(授業計画の要因)をみつけることにした。

(三) 対象授業の決定

一般的には、研究目標が観察すべき授業の性質や形を決定する。演習では「一人一人の児童が主体的にとりくむ学習過程」というねらいから、その教材が

○ 問題解決の形で提示しやすく、探究的な学習過程がとれるもの。

○ 児童が疑問や問題をみつけられ

 

 

 


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