教育福島0034号(1978年(S53)09月)-039page
る現象をもつもの。
○ 問題の解決法が児童によって考え出され、解決可能であること。等の条件を備えるものであるか検討し「動滑車」の学習内容をとりあげた。
(四) 事前研究
事前研究は、研究目標にそうような授業を実現するための準備である。
演習では六時間をあてている。
○ 教材研究の視点
その教材(動滑車)は、学習の体系からみて、どのような位置づけにあるか、中心概念とどんなかかわりをもつか。
・ 教材のもつ価値
・ 教材のしくみ
・ 教材の関連
を明らかにする
学習内容と児童の能力の予想
・ 難易と学習の準備能力
到達度の見通し。
・ どの児童にも到達させなければならないものを明確にする。
○ 児童の実態は握
・ 学習経験・能力(知識)、興味をとりあげる。
○ 授業の観察計画
・ 観点別記録表(表1)
・ 学習行動記録表(表2)
によって十二名の児童を上・中・下の能力別で抽出し、観察する。
○ 指導案の作成
講座の演習では研修者全員が指導案を作成し、授業者の指導案と比較検討し授業研究の指導案を作成する。
検討の主な観点は次のとおりである。
・ 問題をは握する段階における実験観察の方法は、問題意識を持たせるのに適切か。
・ 仮説の設定や検証をするための実験計画は適切か
・ 検証するための実験観察の内容や方法は適切か
・ 結果の処理と考察のさせ方はどうか
・ 教師が提示、説明する内容と児童が思考し発見する内容は適切か
・ 時間の配分はどうか
・ 研究の目標に即応した指導過程になっているか
(指導案は紙面のつごうで省略)
(五) 授業の観察
○ 観点別記録 (表参照)
指導案に示されている「教師のはたらきかけ」を中心に、チェックポイントを前もってきめておき、児童がどのような行動をしたか、チェックポイントごとに評価し記録する。その際、評価の対象にした児童の行動を「キーワーク」欄に記録する。
この意図は、事後研究の際教師のはたらきかけの適否、効果を判断する資料になる。
○ 学習行動記録 (表2参照)
観点別記録が学習内容面からの観察に重点をおいているのに対し、これは学習行動の面から観察し、問題点をつかもうとするものである。
授業の展開に従がって、教師の発言に対し児童がどのような行動をとったかを観察項目ごとにチェックする。その行動は学習に積極的か逃避的かを判定し、プロフィールをえがくことによって学習意欲の状態をつかみ、問題点をとらえることができる。
(六) 事後研究
観察の記録を整理し、その結果から問題点を出して考察する。改善の具体内容を明確にし、授業実践の方法までをきめる。演習では授業観察とあわせて一日をあてている。
四、おわりに
授業研究の実践上の困難点はいろいろあげられるが、技術的には指導案の作成と問題点を明確にとらえるための観察の視点と記録のとり方である。
この点の改善に主眼をおき、研究をすすめているところである。
表1 授業の観点別記録表
表2 学習行動記録表