教育福島0035号(1978年(S53)10月)-015page
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中心であり、また、ことばが未発達な段階では、動作や表情などもあるが、本児の場合、これらの発達がふじゅうぶんである。
本児から接触してこないので、教師から接触しようとして積極的に出ればかえってひきこもってしまう。
そこで、ここでは、視点をかえて、まず教師が本児の好むもので遊んでみようという発想から、指導プログラムを作成し、実施した。その結果、教師に対する接近行動や接触行動が認められ、改善への糸口がつかめたように思われる。更にこの取り組みの中から、教師のかかわりの視点を開発し、より高次の段階へと指導をすすめていきたい。
○肢体不自由児教育
平養護学校翠ケ丘分校
ア) 対象児
昭和五十年四月、国立翠ケ丘療養所内重度・重複心身障害児(者)施設「はまなす、はまぎく二病棟」(八十床)に新設され、二学級児童数十六名、教員数二名で発足した。五十一年四月分室、五十三年四月分校に昇格し、現在小学部三学級十八名、中学部一学級九名、教員数七名である。児童生徒の病類別及び障害の状況は表7、8のとおりである。
イ) 教育の方針
○ 教育目標
教育基本法及び学校教育法などの法規にのっとり、肢体不自由児に対して、心身障害の状態に応じた適切な教育を行い、児童生徒がみずからの障害を克服し、将来民主社会の一員として、その向上発展に寄与しうる人間になることを目指して育成する。
○ 校訓
明るく、正しく、たくましく
○ 具体目標
自分のことは自分でしよう
・障害にまけずにがんばる子
・身のまわりのことができる子
・よろこんで仕事のできる子
・友達と仲よくしよう
・いつもにこにこ明るい子
・思うことをうったえる子
・みんなと仲よくできる子
ウ) 指導目標
○ 障害や能力に応じた個別の指導計画により可能性を引き出す。
○ 学習への参加をとおして生きる希望と喜びを与える。
○ 人間として明るく楽しい生活をおくれるようにする。
○ 人間関係(心のふれあい)をたいせつにし、身辺自立の能力をたかめる。
エ) 実行
○ 次のような基本方針のもとに指導にあたっている。
・一人の教師のいっせい指導形態は困難であるため、障害や能力の違いに応じたグループ編成をし、個別指導形態をとっている。
・療養所担当職員と緊密な連携のもとに、療育と養護・訓練をとおしてできるだけ発達を促進し、能力の開発に力を入れる。
○ 主なる週間教育活動
・月火木金…一対一による個別指導
・水…低中高学年別グループ指導(リーダー教師中心に全教師による指導)
・土…全体指導や病棟反省会指導(連携指導)
○ 主なる年間行事
映画教室、絵画教室、校外学習(本校との交歓会など)病棟共催で社会科見学、運動会、など
○ 次に指導の実際についてその一端を紹介する。(次ページ写真参照)
オ)終わりに
重障児教育上まず重要なことは、対象児の綿密な「観察」であろう。それも単に外面的にとどまらず内面的なものも含めて長期にわたり記録されねばならない。その過程において、教師は多様な角度(面)から刺激を与えてその反応を分析し教育のきっかけ(コミュニケーションの手がかり)をとらえ診断し、指導計画の処方をつくり実行する。
この段階で試行錯誤したり、計画の反省、見直し、修正があって、より児童生徒の幸せのための教育の実践があると考えられる。
わが分校では早くから個々の記録簿を整備し、毎時の実態(反応)と指導の内容を記録し、より効果的な教育の実現にむかってくふうし努力している。
表7 病類別児童生徒調べ
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表8 障害の状況
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