教育福島0035号(1978年(S53)10月)-018page
回当り二時間、年間三十五週実施)の指導を行っている。なお、市町村別対象児数は、表11のとおりである。
指導内容は、個人ごとの障害の程度や習得の状況に応じて、指導計画をたてることを原則とする。ただし、養護学校(精神薄弱、肢体不自由、病弱)小学部、中学部学習指導要領に示されている「養護・訓練」の内容を特に参考とし、必要に応じて「各教科」等の指導もとり入れるようにしている。
訪問教育へのとりくみは、歴史的にもまだ十年足らずの新しい教育で、わけても方法開発は急を要する課題である。
在宅身障児を訪問する指導員
(五) 障害の軽い児童生徒の教育
1) 軽度心身障害児の教育課程
軽度心身障害児の教育は通常の学級の教育課程をそのまま適用したのでは効果をあげにくいばかりか、長期にわたり学業への不適応をきたし二次的な問題をひきおこす場合も少なくない。このためその障害の特性や程度に応じて特殊教育諸学校の学習指導要領を参考とし、弾力的に教育課程の編成ができることとなっている。軽度心身障害児については「軽度心身障害児に対する学校教育の在り方(報告)」(昭和五十三年八月十二日、特殊教育に関する研究調査会)の中で表12のように述べられている。
軽度心身障害児の教育は、小学校・中学校の特殊学級並びに通常の学級でなされるわけであるが、その指導形態は一律には考えられない。軽度の心身障害といっても精神薄弱児と弱視児・言語障害児とではまた教育措置上の意味あいはやや異る。軽度の弱視児や言語障害児の場合は、通常の教育課程をもとに、その障害にかかわる部分にどのように留意して指導するかを考慮し教育課程を編成することになろう。指導形態も通報や巡回指導による矯正・訓練あるいは通常の学級で留意して指導することになろう。
同じ軽度心身障害児としての精神薄弱児は特別の教育課程によることが必要となろう。つまり、その心身障害の特性として、
○ 精神発達が未熟な段階にとどまりやすく、その発達の速度も比較的おそい。
○ 抽象的思考、概念学習あるいは国語・算数・社会・理科といった教科学習での差が年令の増加とともに顕著になってくる。
○ 社会性の伸長や身体の発育では遅滞がないか普通児に近い。
○ 手指や身体を使った作業能力では、普通児に劣らない面も多々ある。
等々あげうる。従って教育課程はその学習上の特性をふまえて編成され指導も学級を固定し学校生活の中核となる場を保ちつつ指導される。
難聴学級の教育課程も伝音性・感音性等の障害の特性・聴能訓練のすすみぐあいと改善の状況などに対応できるよう弾力的な編成がなされなければならない。従ってその指導形態も一律にはきめがたいところがあり、児童生徒の実態に応じてくふうされなければな
表10 昭和53年度在宅訪問指導員配置状況
管 内 指導員数 県 北 6 県 中 3 県 南 1 会 津 3 南会津 0 相 双 1 いわき 4 計 18
表11 管内・市町村別対象児童生徒数
表12 軽度心身障害児