教育福島0035号(1978年(S53)10月)-020page

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審議する機関である。審議会の委員は、専門医等の学識経験者、教職員、保健婦等の市町村職員、更に盲・聾・養護学校長、福祉関係等の県職員計十三人以内で構成されている。特にこの審議会が有効に機能するためには、専門調査員の調査活動が大いにものをいうことになる。審議会に先だって対象児の個人調査表を検討して問題点を整理し、必要に応じては知能検査や面接等も実施する専門調査員の知識、技術の専門性が、就学措置の決定に極めて大きな影響を及ぼすことになろう。ただ恒常的に年間をとおして専門調査員を委嘱できない場合は、対象児の審査のケースごとに、当該対象児の地域等から、より詳細な資料を得られるような立場の人を委嘱することも可能である。

なお前述の県段階の就学指導会議と同様、この審議会は、市町村教委の委託を受けて就学について調査審議する専門機関であって、この審議結果の答申あるいは報告を受けて、市町村教委では就学に関する措置を決定することになる。適正を欠いた教育措置が、障害をもつ児童生徒の不幸に直接つながるおそれがあることは当然だが、保護者の就学義務の不履行や教育委員会の不当な行政処分といった法的問題も生じかねないので、この審議会の位置づけを明確にするとともに、だれもが納得できる権威ある報告が得られるよう、慎重に調査審議は進められねばならない。そのためにも、具体的な審議会の運営要項の作成はぜひ必要である。

 

(二) 盲・聾・養護学校の就学事務

 

1)就学事務手続き等の改正

来年四月からの養護学校教育の義務化にともない、学校教育法と学校保健法の施行令並びに施行規則が一部改正され、就学事務手続き等に関する規定などが整備された。

まず第一に、就学事務手続きの時期の繰り上げに関することがらがある。学齢簿の作成が二か月早められて、基準日が十月一日現在、十月末日までに作成と改められた。当然就学時の健康診断についても、学齢簿作成後十一月末日までの間に行うことになって、同様二か月繰り上った。また、従来の盲者・聾者に今回新たに加わった養護学校対象児(精神薄弱者、肢体不自由者、病弱者)を含めて、市町村教委から県教委への就学該当児の氏名の通知が、一か月繰り上って十二月末日までと改められた。これによって県教委が対象児の保護者に対して行う、入学期日と学校の指定の通知は、一月末日までと改められた。

次に、盲・聾・養護学校に在学中の児童生徒で、盲者等でなくなったものがあるときの手続きに関することがらが、新たに施行令第六条の二として加えられた。

第三には、養護学校への就学義務に関する規定の施行に伴ない、関係規定の整備として、一つは精神薄弱者、肢体不自由者、病弱者について、従来規定中の盲者、聾者と同様の扱いとすることがつけ加えられ、二つには、養護学校について、従来規定中の盲学校・聾学校と同様の扱いが施行令十四条以下に明記された。

第四には、経過措置として、現在小中学校に在学している養護学校対象児童生徒、並びに現在就学猶予免除をうけている児童生徒の就学手続きが、施行令附則第三項から第十三項までに明文化された。

以上がいわゆる政令の主なる改正の要点であるが、学校教育法施行規則並びに学校保健法施行規則、つまり省令の改正のなかで注意すべきことは、「教員を派遣して教育を行う場合」いわゆる訪問教育について、特別の教育課程によることができるように改められたことである。

 

2)小・中学校長の処理する事務

経過措置として、昭和五十三年十一月一日現在において、養護学校対象児童生徒(精・肢・病)が在学している学校の校長は、十一月三十日までに、当該児童生徒の住所のある市町村教委に、その旨を通知しなければならないことになった。その際の措置をすすめるにあたって校長として留意しなければならないことは、次のようなことがらである。ア)当該児童生徒の学級担任、学年主任等の意見をよく聴取するなどして、校内での処理手続きに手落ちのないようにすること。イ)当該児童生徒の保護者から、日常生活の様子等をふくめて事情をよく聴取するなど、家庭・地域での実態を正しくは握すること。ウ)障害の程度が同様の状態であるものが二人以上在学している場合、不均衡を生じないよう配慮すること。エ)事前に市町村教委とよく連絡をとるなどして、同地域の学校間に著しい不均衡を生じないよう措置すること。オ)判断の困難な場合等は、市町村就学指導審議会への調査審議を依頼すること。カ)最後に、より多くの資料等による総合的判断が必要であること。

就学児童生徒に対する特殊学級への入級等の教育措置についても、以上の留意事項は当然必要であろう。

なお施行令第十二条第一項にある、就学児童生徒が盲者等になった旨の判定及び市町村教委への通知は、当該校長の事務として従来通りである。

 

3)盲・聾・養護学校長の処理する事務

政令の改正により、盲・聾・養護学校に在学中の児童生徒が、それぞれ当該対象者でなくなった場合、校長は速かに当該児童生徒の住所のある県教委に対して、その旨通知しなければならないことになった。

なお、訪問教育が養護学校等における教育の一形態であることが、今回の省令への位置づけにより改めて明確化されたことから、新たに養護学校長は訪問教育の実施等の措置についても処理しなければならない。

 

 

 


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