教育福島0035号(1978年(S53)10月)-021page
4)市町村教育委員会の処理する事務
従来通りの就学事務として、施行令第十一条による県教委への通知は、前述のように二か月繰り上って十二月三十一日までとなった。従来の盲者・聾者だけでなく、新たに、精神薄弱者、肢体不自由者、病弱者が加わったことにより、この通知は関係施設・病院等との緊密な連絡など、従来よりいっそう慎重な手続きを経た上で、最後に保護者の了承という措置が完全にとられた後に、なされなければならない。この手続きは、施行令附則第四項、第五項の経過措置に関する通知についても、同様である。この就学事務手続きを慎重かつ円滑にすすめるためには、市町村におかれている心身障害児就学指導審議会の機能が、正しく発揮されなければならないのである。
なお、以上の就学事務については、学齢簿の編製、就学時の健康診断とともに、市町村教委のもっとも重要な処理事項であり、学校保健法のなかにも、就学時健康診断の結果にもとづく就学指導として、その措置が明文化されている。(第五条)
義務制施行後も、学校教育法第二十三条に規定する就学義務の猶予・免除措置は残ることになる。特別な状況下にある者の免除措置であり、緊急にしかも継続的に、医療が教育措置により優先するような場合の猶予措置などが、これである。市町村教委は、就学指導審議会の審議を経て、この猶予・免除措置を決定することになる。
今回の改正政令のなかでの経過措買として、市町村教委が特別の事情があるため、引き続きその小・中学校に就学させることが適当であると認められるものについて、その氏名と理由とを、十二月末日までに県教委に通知しなければならないことになった。ここでの「特別の事情」には、養護学校への距離が遠いことや、保護者の理解が得難いことなどは該当しない。この「特別の事情」とは、昭和三十七年の初中局長名のいわゆる三八○号通達による、従来から行われてきた特殊学級での扱いが前提となっている措置である。つまり、従来は義務制でないにもかかわらず、養護学校対象児童生徒が、小・中・学校(特殊学級)に入学して学習できたという事情、それが特別の事情なのであって、その在学できる事情が現在にもつながっているというのが「特別」なのである。
従って、特別の事情には二つの条件が必要である。ひとつは、当該学齢児童生徒の心身の状態がそれまでの小・中学校の教育をうけることができるということ。もうひとつは、受け入れる学校(又は学級)の事情が、当該児童生徒の就学を可能とする条件を備えているということである。ただ、この継続就学という経過措置は残されても、養護学校義務制の趣旨にてらして、あくまで養護学校への教育措置が本来望ましいものであることはいうまでもない。
図4 盲・聾・養護学校への就学事務・手続き
5)県教育委員会の処理する事務
施行令第十一条による市町村教委の通知を受けて、県教委の処理する就学事務の第一は、施行令第十四条による保護者への入学期日と学校指定の通知である。続いてこの通知は、就学させるべき盲・聾・養護学校の校長及び当該市町村教委へもそれぞれなされることになる。(施行令第十五条)なおこの