教育福島0035号(1978年(S53)10月)-023page

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行い、判定の資料を作成し、それに基づいて適正な就学指導にあたる。

イ、心身に障害や発達の遅れのある児童生徒の適正就学を推進するため、必要に応じて関係機関と連絡をとり、連携を図る。

ウ、心身に障害や発達の遅れのある児童生徒について、理解を深め、指導方法等の研究を行う。

工、校内の心身障害児教育の推進を図るとともに、校区内住民への啓発活動を行う。

オ、手続(図5参照)説明

特に、校内就学指導委員会は、全校的運営を基本として、定例的継続的に進められるように、年間計画を確立すること。また、各市町村における就学指導審議会との連携は、就学指導推進の上からも極めて重要なことなので、各市町村の教育委員会とじゅうぶん連絡を図りながら進める必要がある。

 

図5 手続の例

 

三、盲・聾・養護学校教育における今後の課題

 

三、盲・聾・養護学校教育における今後の課題

 

養護学校教育の義務制施行によって障害児の教育制度は、小・中・高等学校と同一体系で完成することになる。

これは関係者の長年の悲願でもあったわけで、まことに意義あるものであるが、障害児の教育は、平均から外れた多様な児童生徒を対象としており、わけても、過去において教育対象として考えてもいなかった重度・重複障害児の教育を思うとき制度的完成のみで安心しておれないわけである。

教育は制度をつくり、施設設備が充実したからといって理想が実現するものではない。

昭和五十三年は、特殊教育百年の年にあたるが、この百年のあいだに幾多の創造的な先人の努力によって今日の養護教育が築きあげられてきたわけである。

障害児に対する教育は、一定の内容を一定の方法で教育すれば効果があがるというものではない。

担当教師には、未経験の問題、新しい分野に遭遇しても、その解決のための方法が創造でき、一人一人の障害児に対応できる知識と技術が要請される。

今後ますます多様化するであろう養護教育の中でその理想実現を図るためには創造的な熱意ある教師の確保、養成が第一の課題である。

次に障害児処遇の歴史を見てみると過去の障害児の福祉、教育は、一般からの分離を主としてきたといってよいであろう。その反省にたって最近、障害児と健常児を可能な限り、いっしょに教育を受けさせようとする統合教育(インテグレーション)の思潮が高まってきている。

しかし、この思潮の悪のりともいうべき障害児教育制度そのものを全廃し、すべての障害児を一般学校で教育せよという極端な意見もある。

これは障害児の実態を考えない極論というべきで、障害児を犠牲に導びく結果となることは明らかである。

心身障害児の種別、程度に応じてどのように統合教育を進めるかを検討しなければならない。軽度の障害児を対象とする特殊学級が一般小・中学校の中に設置されているということは、健常児との交流の機会を意図しているのである。盲・聾・養護学校でもそれぞれの学校で一般学校との交流が実践されているが、今後、更に計画的な交流が検討されなければならないだろう。

この検討内容には、盲・聾・養護学校のサイドからの問題だけでなく、一般の幼稚園、小・中・高等学校からの歩みよりが重視されなければならない。

そのほか、在宅心身障害児に対する訪問教育の充実、特殊学級の整備などは今後そのあり方を含めて検討されなければならない課題である。

 

盲・聾・養護学校配置状況

 

 

 

 

 


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