教育福島0035号(1978年(S53)10月)-039page

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いてはテストピースの作り方、テストピース、引っぱり試験の方法、弾性限界と破壊の様子をビデオテープにとり金属材料の理論学習を興味あるものにくふうしてみました。

その二は、講座で製作した整流、平滑回路の実験装置の活用であります。スライダック、オシロスコープ、テレビカメラと組み合わせて、テレビの映像としてとりだし、生徒たちに観察させました。ダイオードの整流作用、コンデンサーの容量差による平滑作用の相異を視覚を通して理解させることができました。この装置は、三年電気教材の学習に欠くことのできないものであります。

自画自賛をお許しいただきますが、生徒の目は輝き、するどい質問が続出して、教室は満足感でみなぎっていました。研修で得ました生きた教材や教具を授業の中で利用できるのは、このうえない喜びであります。心から感謝しています。

 

長沼町立長沼中学校

渡辺淳

 

昭和五十二年度の講座に参加させていただきました。岩瀬郡内でも、夏休みなど長期の休業を利用して研修会がもたれますが、施設設備、準備物、研修時間、講師陣などからみて、教育センターの研修とは比べることはできません。

教員生活十四年目になりますが、学校では忙しさにかまけて、既習の概念をもとに授業を繰り返してきました。授業の内容や方法の改善という大きな課題があるのに、実質的には旧態依然の授業でありました。受講を機会に自分の姿をふり返ってみると、いかになまけていたかを痛感しました。

新しい学習指導要領の完全実施を目前に控え、授業時数の削減による教科経営を考えたとき、より多くの生徒にいかに効率よく教材内容を理解させ、その技術的水準の向上をはかるかは、私たち担当教師に課せられた大きな仕事であります。施設設備の不足を嘆きそれにかまけて、日常実践に切れないメスを入れていた時代は過ぎ去ったと思います。

教育センターでの研修は、その意味で示唆に富んだ、しかも、直接授業に生かせるものでありました。私が授業に取り入れ、利用させていただきました、主なものをあげると次のようになります。

○ 植栽土壌の実験法

○ 各種刃物の研摩法

○ 自動かんな盤の調整板の利用

○ 誘導電動機説明教具の活用

○ 安定器実験装置の活用

○ けい光ランプの切断法

○ トランジスター増幅器の活用

その他、細かいことはたくさんありますが省略させていただきます。

更に、見落すことのできないものに「宿泊研修」の効用があります。研修や経験の豊富な先輩の先生がたから、多くの苦心談や実践例をお聞きし、授業などに役立てています。

研修の重要性をしみじみと感じました。長い教員生活が続くなかで、研修の機会を積極的に求めたいと思っています。ありがとうございました。

 

いわき市立内郷第三中学校

桑原洋子

 

四十九年度と本年度の二回受講させていただきました。今回の講座も各領域全般にわたって行われ、前回の内容をより深め、更に、高度化したものでありました。

四十九年度において実験しました食品添加物の色素検出表は、二年生の食品添加物の教材に取り入れ、色素検出表を生徒に提示しました。純白の毛糸が紅しょうがやメロン水によって、赤や緑の色にあざやかに染色されているのに驚異とい怖の念を抱き、改めて食品選択のたいせつさを痛感することができました。

本年度においては、その色素をクロマトグラフィ展開法により検出し、歴然と識別することができました。

また、電気領域においては、電気器具の取り扱いと漏電の危険性について、実験的に指導することができました。製作したバイメタルの教具は、電熱器のしくみの中に位置づけ、作動の状態を観察させることができました。

本年度は、電動機、電熱器、照明器具を中心に研修しました。製作した電気回路実験装置は、電流、電圧、抵抗電力など基礎事項が押えられるので、多目的な使用を授業において考えています。

更に、食品の性質、洗たくの科学、繊維の識別、カムの機構等についてはそれぞれの指導過程に位置づけ、どう展開したらよいか、くふうと研究を重ねたいと思っています。講師先生には終始変らぬ御指導と御援助をいただき、心から感謝を申し上げます。

 

終わりに

 

家庭、技術・家庭科は、指導する領域が広く、しかも、底の深い内容をもっている。その上、指導者の技術的経験の深さが要求され、それが本教科の授業を左右する重要な要素になっている。密度の高い研修が要求されるゆえんもここにある。

本講座においても、指導者の知的技術的水準の向上と研修の成果が直接授業の充実に機能するという二面性にねらいをおいている。今後とも先生がたの手助けになれば幸いである。

 

 

 


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