教育福島0036号(1978年(S53)11月)-016page
によると、昭和四十九年度では七百七十九万七千円の平均支給額が、昭和五十二年度では一千三十四万九千円となり、わずか四年間のうちに、三二・七%の引き上げが行われたことになる。
一方、二千万円以上の退職手当受給者についてみても、昭和五十一年度が九十六名に対し、昭和五十二年度は百九十四名にのぼり、昭和五十二年度勧しょう退職者の約四六%が該当することとなった。
これら増加傾向の要因としては、給料月額のアップと、退職者数の増とがあげられ、今後、制度上の改善措置が講じられなくとも、引き続き、支出ののびは予想されるところである。
二、恩給
(一) 昭和五十二年度執行状況
恩給は、昭和三十七年十二月一日(現行の共済組合法施行日)前に退職した教職員に対して県から支給されるものである。
昭和五十二年度における普通恩給、扶助料等の支出額合計は、表17のとおりで、二十五億二千七百三十六万一千円となり、昭和五十一年度に対して二億七千三百五十七万二千円(一二・一%)の支出増となった。これを更に、恩給、扶助料別でみた場合、恩給が九・六%の増、扶助料が二〇・二%の増を示すこととなり、扶助料の引き上げ幅が極めて大きいことがわかる。
昭和五十二年度の恩給改善が、遺族に対する処遇改善を重点事項の一つとしてとらえ、最低保障額を大幅に引き上げたこと、また、扶助料には寡婦加算の制度が設けられていること等によるが、これらの優遇措置により、扶助料の実質支給率は、恩給の五八%に達することになる。
(二) 昭和五十三年度改善内容
第八十四回国会において恩給等の一部を改正する法律が可決、成立し、昭和五十三年五月一日付法律第三七号をもって公布された。その概要は次のとおりである。
(1) 恩給年額の増額
恩給年額は、国民の生活水準等に著しい変動が生じた場合に、変動後の諸事情に応じて恩給の実質価値の維持を図ることとされている。昭和五十三年度は、昨年度と同様、国家公務員の給与改善傾向を分析した結果にもとづき、恩給年額を約七%引き上げることとし、本年四月から改定措置が講じられた。
(2) 最低保障額の引き上げ
共済年金の最低保障額の改善に準じて、六十五歳以上の長期在職者に給する恩給の最低保障額を、本年四月以降五十八万九千円から六十二万二千円に引き上げることとし、これに準じて他の恩給、扶助料の最低保障額の改善措置も講じられた。
(3) 老齢者等の恩給算出率の特例の改善
八十歳以上の者に支給する恩給又は扶助料を計算する場合には、老齢者優遇の趣旨から、実在職年が十七年を超えて、十年に達するまでは、その超える一年につき仮定俸給年額の三百分の二を加えることとしているが、本年六月から、この十年の制限を十三年に延長することとし、七十歳〜八十歳の者等にも及ぼす改善が図られた。
三、退職年金・退職一時金等
(一) 昭和五十二年度執行状況
共済組合の長期給付には、退職年金、減額退職年金等の六種の年金と、退職一時金、廃疾一時金等の四種の一時金がある。これらのうち、退職一時金、廃疾一時金は支部で、その他の給付は本部において、それぞれ決定し、給付を行っている。
(1) 長期経理の収支
長期給付にあてる財源は、組合員の掛金と県の負担金並びに昭和三十七年十二月一日前の、恩給法等の適用を受けていた期間にかかる県の追加費用負担金からなっている。
昭和五十二年度の本県の前記収入総額は、図4にみられるように百二億六千九百九十六万四千円で、昭和五十一年度収入総額に比較し、一九・三%の増となった。
支部では、この収入のうちから、退職一時金二千四百八万三千円の支払い及び支部積立金を控除し、残り金額を本部へ回送した。
なお、本部では、各支部からの回送金を資金に、退職年金等の給付費に当てるとともに、将来における年金受給のための積み立てを行うほか、地方債等への運用、住宅・宿泊施設等の建設及び貸付への資金充当など、効率的な運用をはかっている。
(2) 年金給付と財源問題
昭和五十二年度に、本部において支
表16 昭和52年度退職手当支給状況
表17 昭和52年度恩給支給状況