教育福島0036号(1978年(S53)11月)-031page
に運営されるものである。
3) 学年経営は、調整的機能を持つ。
〇学校経営と学級経営の中間にあって、理念的な学校の教育目標を実践化する役割を持つ。
4) 学年経営は、研修の機会を持つ。
〇さまざまな、しかも共通の課題を持つ同学年の教師が、学習指導や生徒指導についての研究実践を積む基盤として最適である。
5) 前四項を受けて、学年を主体にした学校運営組織に改善する。
〇学年会を明確に位置づける。
〇教科・道徳・特別活動・生徒指導・現職教育については、全体を三群に分け、全教師がどの群にも一度ずつ所属する。
〇各種教育研究部、事務部は、ブロック学年の代表で構成し、計画立案・実施の際に学年の意向を反映できるようにする。
〇人員の配置は、年度当初の学年会並びにブロック学年会で話し合い、調整しながら決定する。要するに、学年経営は、学年全体の向上を目ざすものであり、学級の水準を高め、学校経営を充実するためのものであるべきだと考える。
(二) 学年経営を進めていくに当たっての基本的な態度を明確にした。
1) 学年の子供に焦点を当てた実践を進め、活動に共同の責任を持つ。
2) 子供との接点である日々の活動を、継続的に積みあげていく。
3) 学年の経営について、自由な発想を交換し、創造的な意見としてまとめ、実践する主体性を尊重する。
(三) 学年経営計画(学年経営案)を作成して活動している。経営案には、次の内容が盛られている。
1) 学校の教育目標を受けた、学年としての目標や努力目標の設定。(表2は、学年経営計画の一部)
2) 調査・観察による学年の実態(知能・学力・体力・行動的特性・家庭環境など)
3) 教科及び教科外の指導の重点
4) 生徒指導記録(教育相談)
5) 家庭連絡(学年だより)
6) 学年事務分担表
7) 年間展開計画(行事プログラム)
これらは、学年のさまざまな仕事を計画的に落ちなく実践する上にも、また、学校経営の重点とした学習指導と生徒指導の一体化の上からも、欠かすことのできないことである。
(四) 学年の経営活動充実のため、特に考慮・くふうしたのは、次の点である。
1) 学校教育目標の共通理解をじゅうぶん図ったこと。
2) 学年主任のあり方をみんなで考えたこと。
3) 学年会、学年研修会の時間と月や週の時程に位置づけたこと。
4) 全校集会のほか、学年集会を月二回実施するようにしたこと。
5) 学校と家庭の連携を密にするために、計画的な学年だよりの発行をしたこと。
6) 学習指導と生徒指導の一体化のための週案をくふうし、学級の実践を書くようにしたこと。(表3)
〇週案には、週の学年や学級経営の計画を明確にし、計画的・能率的に経営できるようにする。
〇教科指導計画・反省だけでなく、教育相談実施記録の欄を設け、日常の教育相談をメモ的に記録し、場に応じた個別指導の資料・手がかりとする。
7) 学年PTA活動を行ったこと。
五、実践の結果から
(一) 教師の個々バラバラな歩みから、学年としての目あてに向って、ともに助け励まし合い、学びみがき合う姿が多く見られるようになってきた。
(二) 学校教育の目標・重点・方針等が学年化され、更に学級化されてきたことは大きな前進である。(表2)
(三) 学年の子供を見る目や子供に接する構えが違ってきた。
(四) 学習指導と生徒指導とを一体化した実践活動が多くなってきた。(表3)
(五) 研修への取り組みと実践が積極的になってきた。
(六) 新採用教員の研修・指導助言に予想以上の効果を収めた。
(七) 今後、毎月の学校経営プログラムの改善が必要になってきた。
表2 学年経営計画の一部
表3 指導計画案と実践(週案)の一部