教育福島0036号(1978年(S53)11月)-039page
目の観点を設定してその中から三項目を選択する方法で調査した結果は、図3に示すとおりである。
小学校は「教科指導・生徒指導等の指導力」が最高であり、次いで「学年をまとめる力」、「教職経験年数」、「企画力」となっており、それに対して中学校では「学年をまとめる力」が最高で、次いで「教科指導・生徒指導の指導力」、「企画力」、「教職経験年数」となっている。
「学年をまとめる力」については、小・中学校とも学校規模の大小に関係なく、約三〇%の校長が重要な観点としている。当教育センターの学校経営講座の研究報告の中でも、学年主任に期待する内容に「学年をまとめる」ことをあげているものが非常に多い。
「学年をまとめる力」が重視される理由には、学年内教師の「まとまり」としての現実の姿からのものと、学年経営に期待する内容からのものとの両面が考えられるが、後者の立場から次の「学年経営の実際と充実の視点」に関する調査をとりあげてみてみたい。
図3 学年主任を選任する観点
四、学年経営の実際と充実の視点
学年経営の実際を学年会の議題からみることにし、1)学習面2)生活指導3)行事4)学年経営5)学級経営6)学年事務7)連絡・伝達8)研修9)PTA10)その他の十項目を示して主な議題となったもの三項目を選んでもらった。
その結果は、
(一) 学習面に関する事(学習指導法、教材、教具、進度、評価等)
(二) 生活指導に関する事(非行、学校事故、問題児、生活態度等)
(三) 行事に関する事(諸行事の計画、分担等)
が小・中学校ともに、学校規模、学年を問わず高い割合を占めている。
小・中学校を比較して大きく相違のある項目は研修に関する事項で、小学校では一三%であるのに比べて、中学校は二%程度と低くなっている。
また、学年教育目標、学年内協力授業・清掃等の狭義の学年経営に関する事には小学校は一〇%弱で、中学校のほぼ半分である。
学年会の議題からみた限りでは、学年経営に課せられている学校教育目標の達成機能がぼやけているように感じられる。学年経営上からはもちろん、調査研究の方法上からも大きな課題であろう。
図4は学年主任に対して、学年としての充実の観点八項目を示し、三項目をえらんでもらった結果である。
また図5は、校長が学年主任に望むことをまとめたものである。(七項目を示し重要な順に三項目を選択する。)
図4は学年主任が意図している充実内容の傾向とうけとめ、図5は校長が学年主任に期待している内容と方向を示すものとみてよいだろう。
図3の学年主任の「選任の観点」と図5を因果的に、図3、5と図4を対応的にみると、三で問題にした「学年をまとめる力」は、「創意ある学年計画の実施」に対するものと考えることができる。更に、「創意ある学年計画の実施」では「学年としてのまとまり」のうえで、学校の教育目標達成のための充実すべき具体内容の決定と方法の選択がなされることであろう。
まとめとして強調したいことは、学年経営に課せられている、学校の教育目標達成機能がじゅうぶんに発揮できる場面は、「創意ある学年計画の実施」にあるということである。
図4 あなたは今年度、あなたの学年のどの面を充実しようとされていますか。
校長が学年主任に望む内容