教育福島0036号(1978年(S53)11月)-044page

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福島の文化財

県指定重要文化財

木造法燈国師坐像

所在地 岩瀬郡天栄村大字大里字安養寺

 

した。永仁六年(一二九八)に没し、後醍醐天皇より国師号を贈られた人である。

 

寄木造り、彫眼、黒漆の彫像で、ややいびつで後頭部の発達した頭、極めて高く秀でた大きな鼻、静かに澄んだ眼、引き締った口唇、額や頬に深く刻まれたしわが、よくこの高僧の面影をとらえている。鎌倉彫刻の写実性は高僧の精神的深味を表現しようとする肖像彫刻にその極致を示すといわれるが、その点この像はその個性を描写するのに成功した例であろう。像の鼻先、右耳、左手は後世の修補である。なお法燈国師(ほっとうこくし)(一二〇七〜一二九八年)は信州の人(白河風土記では、岩瀬郡長沼の人ともいう)で、初め東大寺、高野山に学んだが、東福寺の聖一国師のすすめに従って中国に渡り無準師範に師事したという。晩年は紀州由良の西方寺(興国寺)に住した。永仁六年(一二九八)に没し、後醍醐天皇より国師号を贈られた人である。

 

(所有者 熊田安寿ほか五名 法燈国師堂に安置)

 

 

 


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