教育福島0037号(1978年(S53)12月)-006page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

昭和53年度福島県芸術祭開幕行事三曲演奏(福島市)

昭和53年度福島県芸術祭開幕行事三曲演奏(福島市)

 

特集

21世紀へ向かう県民文化

 

文化展望

 

ことしは一九七八年、あと二十三年で二十一世紀にはいる。二十一世紀初頭の文化状況についてことし発表された県長期総合計画(県計画)ではおよそ次のように述べている。

「…国内的、国際的文化交流の活発化、文化的試みの多様化等により、県民の文化志向度は、総体的に高まろう。しかも各自の個性を基盤とした文化的創造活動の活発化、各種小集団から地域社会への活動の広まりが見られよう。また、県民文化は、県民ひとりひとりの関心や創意、くふうの活動の高まりによって形成されるが、それは文化の普及・創作・発表・継承など諸機能をもつ公共的施設で展開し、それが定住社会の個性、魅力と関連して整備され、それらがネットワーク化されよう。

更に祖先の生活の歴史を物語る伝統文化は、慎重に積極的に保護・継承され、県民文化の特性を形成する要因として機能しよう。そのため本県伝統文化の全容の体系的解明がなされ、有形、無形の文化遺産の保持・継承に持続的努力が払われることとなろう…」

そして、この計画は暖かい人間関係と、豊かな自然環境及び都会性が共存する個性的な定住環境を計画的に整備することを基本目標として策定されたのである。

 

文化の重視

 

県計画では、人間、生活、生産、空間基盤の四本柱を立て、県民の幸福を心と物の調和のうえに造ることをねらい、そのための条件整備計画を立てたが、文化については、第一の柱″豊かな人間形成″のなかで「教育」とともに「新しい県民文化づくり」の項をおこし、教育・文化ニーズの高度化・多様化への対応を基礎的課題とし、1)県民文化活動の促進2)文化施設の整備3)文化の伝承の充実の三施策について計画したのである。このなかで″特色ある県民文化″を作り出す方途を見いだすとともに「文化を考える県民会議」の提言などを尊重しながら、五十年代を本県文化史上の一大エポックとして位置づけている。

 

県民会議から文化振興会議へ

 

″文化″が重視されるに至った背景には、多くの社会的、経済的要因があるが、近因としては、県民の生活観の大きな変化、すなわち物から心の充実へという志向の高まりであり、このことは国民的思潮として第三次全国総合開発計画(三全総)の定住圏構想のなかでも、文化的要素が尊重されている。特に本県では、五十一年秋、松平知事が就任して以来、心にうるおいを呼び戻す文化の向上策を重視する意向が示されたことを原動力とし、翌五十二

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。