教育福島0037号(1978年(S53)12月)-008page
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高度経済成長時に蓄えられた県民の文化的エネルギーが発動し始めている。行政も、文化団体も協力して、県民の文化への関心や創意と活動を伸長する場や、文化振興の諸条件整備に努力しなければならない。そして優れた県民文化を育て、子孫に誇り得る文化遺産を形成してまいりたいものである。
以下、本年度の県民参加の文化事業の成果概要を報告する。
芸術文化の振興
一、県文化振興会議
昨年度の「文化を考える県民会議」から知事及び教育長に対し提言のあった本県文化振興策を行政施策として具体化する場合の基本的方策を検討するため、本年度、学識経験者、市町村関係者、県関係者からなる「県文化振興会議」が設置された。
この会議では、(財)福島県文化振興基金(仮称)の創設と文化施設(県立美術館・博物館・図書館)の整備のあり方について検討を加え、七月二十六日、九月二十二日の二回の会議を経て、(財)福島県文化振興基金(仮称)の創設について、次のとおりまとめられた。
1、基金の目的と性格
2、事業の内容及び範囲
3、基本財産の規模
五十四〜五十六年度の三か年間で五億円を目標とする。出捐(えん)負担は、県1/2、市町村・民間1/2
4、設立の時期
五十四年四月〜五月
また、県立文化施設については、県立図書館が早い時期に建設委員会を設け建設に着手するということが了承された。なお、県立美術館・博物館については、その性格について検討が進められているところである。
二、第二十二回県展
昨年の出品点数は九百八十五点と一千点を割ったが、本年は再び大台にのり、五部門で総出品点数一千八十八点を記録した。
一般公募作品について見ると、公正な鑑査の結果、約半数のかたが陳列外となり、かなりの厳選がうかがわれた。しかし、陳列作品について見れば、特に本年は大作が目だち、しかも、例年以上に充実した作品が多かったことが特色で、まさに本県美術界の最高の伝統と権威を誇る発表、鑑賞の場となった。
〇審査員
日本画部 飯塚栖圃、小林五浪、室井東志生
洋画部 相田義男、塩田清忠、長沢節、福田利秋、丸山妙子、山川忠義
彫塑部 白沢菊夫、細井良雄、三坂耿一郎
工芸美術部 佐藤潤四郎、大竹五郎、鈴木三恵子、角田弘司
書部 桑原江南、高橋藤園、室井鶴堂、綿引千斉
〇会期 六月十一日〜二十一日
〇会場 福島県文化センター
〇観覧者 一万六千八百二十二名
三、第二回県展移動展
地方にすぐれた芸術文化を紹介することによって、地方特有の文化を高めみずからの文化を創造する力を育てる目的で、昭和四十四年から実施してきた福島県地方巡回美術展を、内容の充実と部門の拡大を図った機会に、昨年から名称を改め「県展移動展」とした。本年はその二年目で、移動した作品百三十三点は、第三十二回県展に出品された招待及び受賞等の作品群で、多彩で質の高い内容により各会場とも好評を博した。
昨年はじめて奥会津で開催し、本年も再び駒止峠を越え、電源の街、只見町で開催したその意義は極めて大きい。
〇移動町村 飯野町、表郷村、会津高田町、北塩原村、只見町、富岡町
〇観覧者 延べ九千三百三十名
〇展示数 日本画 二十七点、洋画 五十二点、彫塑 十五点、工芸美術 十五点、書二十四点
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第2回県展移動展(只見町)
四、県収蔵美術品巡回展
福島県教育委員会では、昭和四十五年に県文化センター内に美術博物館を設置し、以来県出身者の優れた作品を中心に収集を続け、これら収蔵美術品は四百点を越え県文化センター展示室において収蔵美術展として一般公開してきた。
しかし、県域が広いことから、より多くの県民に鑑賞してもらうため、昨年度よりいわき市と郡山市で巡回公開し、六千人の愛好者でにぎわった。
本年は須賀川市をはじめ、この秋完成した会津若松市文化福祉センター落成記念としてこの会場で開催するなど地域
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