教育福島0037号(1978年(S53)12月)-015page

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内一四二番地 佐藤健太郎 三百六十六点

同 一七四番地 柳沼重次 二点

上行合人形は、総点数三百六十八点のうち、三百六十六点は佐藤健太郎所有、二点(頭)は柳沼重次の所有である。人形は各部別々に保存されており、頭五十、胴十六、手三十九、足三十二、衣装百八十一、小道具四十、楽器・幕・その他十である。頭の構造は文楽系と淡路系(鉄砲遣)の両者が交っている。

この人形を使っての人形浄瑠璃がこの土地へ入った年代はわからないが、江戸時代末には盛んであったといわれ、明治末年まで興行された。大正時代に入ると、やる人も少なくなり、大正四、五年をさかいに廃絶した。

人形は水戸の縫左衛門という者が売りにきたついでに使い方も教えてくれたといい、また年代は文化ごろからという伝承もあるがよくわからない。関下(須賀川市)と合同で行ったというのは明治末年らしい。現在保存箱にある年号は安政四年である。

上行合人形は、関下のものと酷似したものも多く、いずれも江戸後期のものと思われ、先に指定した高倉人形と同類のもので、大阪文楽の系統をひくものである。

 

関下人形

所有者 須賀川市北町 永山祐三

人年の頭は、もと関下の民家に保存されていたもの四十三個、郷倉にあったもの四十二個の計八十五個である。郷倉が部落管理の要がなくなったのを機会に、これらを衣裳その他とともに、昭和三十九年、須賀川市北町の永田祐三氏が引き取ったものである。これらについては、先に杉野橘太郎氏が詳細に調査記録した一覧表がある。

関下人形は、人形の頭八十五点、肩板・手足・胴五十五点、衣裳八十二点、小道具十四点、背影二十三点、幕三点、その他の資料二十点の計二百八十二点である。人形の頭は桐と桧で作られており、桧の方に古いのがあるようである。

目や口や眉毛の動くもののあるのは珍しくはないが、その眉毛が上下にははなくその場に回転するもののあるのは珍しい。頭の構造は文楽系と淡路系(鉄砲遣)の両者が交っている。幕一枚は、富士の巻狩を描いた引幕で、その猿の絵に墨がぬってあるのは、猿と、(観客が)去るが通音なので、縁起をかついで消したのであるという。他の二枚の幕は袖幕であり、紺地に松及び若松に鶴が描いてある。永山氏はこれらのため、新しい保存庫をつくって収めており、保存状態は良好である。

いつごろからこの人形芝居が行われたかは明らかでない。恐らく全国的に歌舞伎と人形芝居が流行した江戸末期からのものであろうし、高倉人形、上行合人形とも一連のものと見られる。実際に大正十二、三年ころまで行われていたようで、四年前(昭和四十九年)に亡くなった八十余歳の老人が、市内西川字坂の上にある山寺の日枝神社で演じていたのを見たと語っていたという。明治三十一年より三十四年に至る「御免大操(あやつり)人形解臺(げだい)(外題)留(とどめ)」明治四十年の「操興行収入帳」が残っているが、人形芝居が実際に行われていたころをしのぶに足る貴重な資料である。外題の中には、「阿国歌舞記」「妹背山」「俊寛」などが見える。

 

関下人形(須賀川市)

関下人形(須賀川市)

 

重要無形民俗文化財

上三宮三島神社の太々神楽

所在地 喜多方市上三宮町上三宮字池田一六五五 三島神社内

保護団体 三島神社太々神楽保存会

代表者 庄司久兵衛

喜多方市上三宮町、三島神社の太々神楽は、当社の伝説によれば、二百年ほど前、宮司高村氏が京都に上り、吉田家について習得してきたものをいう。舞の型が大まわりする巫女舞にのっとっており、概して素朴であるが、伝えた折のままをしっかり伝承しているようである。

曲目はすべてで十二座あり、いわゆる出雲流神楽であるが、それの詞章や神歌を省略した形のもので、かわりに音楽が美しくなっている。すなわち、岩代・磐城の太々神楽ともその特色を同じにしている。用いられている楽器は笛(七孔)、大小太鼓、笏(しゃく)拍子、銅(ど)拍子(銅鈑(ひょうし)子)で、本囃子(はやし)、浪くづし、稲荷拍子、足踏拍子、岡崎拍子、雨垂拍子、岩戸拍子、踊りショリショリ拍子などの囃し方がある。仮面拾数口あり、うち二口は古面であるが、その一口尉(おきな)面は、「集古十種楽器之部」に「田楽面」として描かれている。しかし、田楽面というよりはやはり神楽面であろう。舞人はすべて氏子の長男で選抜している。板に書きつけた「太鼓打方図解」及び、所伝の曲名、登場の神々及びその支度を書き連ねたものあり、それに従って伝承している。

会津地方における特色ある神楽として価値がある。

 

田島の三匹獅子

所在地 南会津郡田島町大字田島字後原甲三五三一 田島町教育委員会内

保護団体 田島町三匹獅子舞保存会

代表者 湯田満

 

 

 


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