教育福島0037号(1978年(S53)12月)-026page

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も四十八年までの高度経済成長で生活レベルが上った。しかし、共稼ぎが多く、子供は家に帰っても危険だし、精神的にも危険である。学校の延長が住宅の中にある。進学率も高校には九〇%以上、大学でも1/4がいくという時代であるが、ものの考え方はTVの普及により山間部にもあまねく情報が流れる時代に、この情報を受けとめるだけの判断力が欠けているのではないか。高度成長の夢を支えることと何がなんでも学校へ入れたいと背伸びしているところに教育のヒズミがある。教師にしても戦前のような聖職型と戦後の勤労者視する考え方の両方の間に子供がいる。このことをよく理解しなければならない。

司会

教師の研修については、小中高校・養護・盲・ろう学校とすべてにわたりますので教育委員会の現状について申し上げてみますと、新採用教員研修(十六日間)、教職経験五年目の研修、(県下小中高校教員を対象)その他教科や生徒指導・教育課程・養護教育に関する講習会等も開催している。また、待遇改善では、昭和四十八年のいわゆる人材確保法によって改善され、初任給では行政職上級に比し一・七万円ほど高くなっている。

今泉

私学なので行政問題など広大な問題にふれられないかも知れないが明治から比べて百年、今の世の中は政治家も教師もスケールが小さくなっている。

 

てしまい、それが教育に反映し、地位の安定とか、金もうけ志向となっている。

 

これから五十年たったらどうなるのか。今は底辺をあげようとして努力し、明治に比べ、たしかに、底辺はあがっているが、それだけがいいわけではない。教育の底を流れるフィロソフィに一貫した考えがほしい。例えば教育について論ずるとき、現象にのみこだわり、分析はするがそのあとがない。新聞社にさわがれて「すまん」とあやまる。そこで問題が起らんようにのみ考え、おそれのあまりスケールが小さくなっている。場当たり的でない対処があってしかるべきである。また、まちがった平等主義や合理主義というか、日本の国は富国強兵の富国のみが残り、もうけることのみに専念し、何のためにもうけるかのフィロソフィがなく、技術のみ覚えてしまい、それが教育に反映し、地位の安定とか、金もうけ志向となっている。

 

鈴木

 

鈴木

私は徳育の問題と評価の問題の二つを取り上げてみたい。今の学校教育は知育にウエイトがかけられ、最近の小学生殺人事件まで大きな問題が報道されているが、現状からみて死に対する恐怖など道徳の指導などどうなっているのか。徳育について特に幼稚園や小学校の低学年から再検討が必要でないか。また関連して家庭への呼びかけも積極的にすべきである。

次に評価の問題であるが、現在の評価は五段階評価で5が何%と枠がありせっかく努力しても評価されない。子供が努力すればそれなりの成果を認める評価法を検討すべきではないか。

司会

評価は1から5までだとしていくのか、それとも学校独自で考えてもいいのか。そのへんの考えはいかがですか。

義務教育課長

評価法は公簿としての指導要録では五段階評価をするが、実際には子供の努力を本人にも知らせ、家庭にも通知する通信箋などでは、学校独自の考えを生かし、相対評価と併せ、絶対評価を重視して、本人の努力を励ますようにしている。一方各学年の到達目標もきめて指導している。

伊藤

私は大きな問題として三つあるように思う。一つはゆとりある教育について、二つ目は高校入試の問題、三つ目は、児童生徒の非行問題である。非行の問題は後の社会教育にゆずるとしても、最初のゆとりある教育については、文部省でも手がけており、私も大賛成である。今までの成績中心主義を反省し、教える内容を精選し、時間的ゆとりをふやし、地元の文化財に親しませたり、子供を人間的に伸ばしていくこ

とには賛成である。

 

らを評価してほしいということもあるので、福島県の場合も検討してはどうか。

 

しかしこのことは、小学校はたいへんよいが、中学、高校になると入試でだめになる。昔のように広場で縦割りの子供同士の遊びがない。日曜日中学生が遊んでいると小学生からは天才か又はその反対だと思われる。例え遊んだとしても子供会のソフトボールとかクラブ活動などである。もっと小中高校生によるボランティア活動等できないものか。昔は一に健康、二に人がら、三、四がなくて五に頭といったが、今は一に頭である。高校入試などにも宮城とか群馬のようにある一定の比率で人がらを評価し、クラブ活動とか体育、ボランティア活動などをしているものを、推選入学させるときいている。中央の青少年問題の社会参加に関する中間まとめにも「行政に望むもの」として、高校入試、大学入試に当たっては、人がらを評価してほしいということもあるので、福島県の場合も検討してはどうか。

 

 

 


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