教育福島0037号(1978年(S53)12月)-028page
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入学試験の過熱については、建前論でいうとそうでないかもしれないが、本音は過熱である。教師・父兄ともに、過熱状態をさます方法を考えてみる必要がある。次に、子供の健全育成についてであるが、子供会を作って育成することが適切である。しかし、小・中との学区が重ならないのでうまくいかない。中学校は、中体連・入試の準備に追われて、小中一貫の子供会ができない。場合によっては、高校まで参加した子供会をつくりたい。中学校の先生がたを含めた会議でじゅうぶん検討し、ぜひ実現させたいと思う。
司会
これで一応学校教育について一通り御意見をいただきましたが、なにか補足したいことがございましたらどうぞ。
菅野
幼稚園は小学校に併設が多く、小学校長が兼務している。併設にするとどうしても小学校に比重がかかりすぎるきらいがある。園長も、また指導力を持った幼稚園の先生でありたい。
司会
現在幼稚園は、義務制になっていないので、市町村で教員の待遇について責任をもって考えていただくよう指導している。幼稚園も義務化の方向で、国の制度改善にでもなればおのずと待遇の面は解決できるものと考える。
今までの話し合いの中では、学区制や高校入試の問題が出ましたが、学校の中でも生徒の学力には差があり、その差をどうすればよいのかとの問題もある。この点はどう考えるか。
阿部
これは新しい教育課程の問題ともつながるかと思いますが、中学校で差があっても、高校一年で教育しなおして差をすくなくすべきである。能力別学習をするなり、高校の先生の考えで直していくなり、その方途を講じてほしい。
伊藤
今までは、個人の能力を考えた教育をしていなかったからではないかといわれるが、現実は、入試中心のみでこれをこれ以上進めるならば、人格を育てる問題など吹っとんで育たない。人がらを尊重するなら、学校に格差があってもよいのではないか。
小林
過熱の裏返しにあるのは、普通高校の中で、産業高校は下だという考えがあるからでないか。だから普通校へ行くのが過熱になっている。昔は、勤め人は普通高で、商家をつぐ者は商業高であった。福高と福商には胸をはって大いばりでいっていたが、今はどうか。
伊藤
有名校は競争が激しいが、周辺校はあいている。皆、有名校に行きたいというところに過熱が出ている。だから知識中心で過熱している。家庭の親は子供の勉強中うろうろしているだけで子供のきげんとりをしているので、しつけとかゆとりある人間などできるはずがない。
田沢
私は企業に身をおいている者であるが、企業の側にも責任があるように思う。今から十〜十五年前は、研究室に入れるものならば、化学を出ていればよい。機械関係であれば技術部門をでていればよいと、労働能力を要求していたものが、今は、高度な内容を専門的に要求している。例えば、コンピューター、電子工学等--これを企業は望んでいる。
しかし、現実には、ある電機関係の大学を卒業した学生を採用してみたが事故が多い。よくきいてみると、自分は、本当は電気はやりたくなかったんだが止むを得ず入ってしまったという。進路指導の末路がこのようになっている。
二、社会教育について
司会
それでは、後半の社会教育について全般的に御意見をお伺いいたします。
菅野
この十月より、青少年健全育成について条例が施行されましたが、従来以上に実効があがるように、私どもは、努力をしていきたいと思う。法的なものよりも自主的なものに中心をおいて、しかも家庭をふまえて、子供がみずから自主規制できるような体制をつくりたい。たいせつなのは非行の早期発見や、子供の自殺や、殺人等がでている折から学校・地域との連けい強化による努力が必要である。
社会教育の中で大事なのは、社会教育活動であり、未成年者、高齢者についての施設と指導者は持っているが、子供についての指導者は少ない。子供会育成等、小・中一貫できるような体制が欲しい。そのための指導者を確保したい。これについては、中学校の参加が得られるよう校長先生の働きかけが必要である。
PTA活動については地域により差もあるが、PTA自体として取り組む問題を明確にして指導者研修会等、形式にとらわれない研修のあり方がほしい。
公民館の設置には努力されているが、小学校の学区に一館は欲しい。
青少年教育のための施設については、少年自然の家があり、また今度、会津の方に作られるようですが、教育事務所単位ぐらいに宿泊訓練のできる広い意味での会館が欲しい。
阿部
私は、小学校教育を三十二年ほどして退職しましたが、退職して世の多くの人々の声を聞きましたが、よい先生というのは、お世辞であって真意は別で、教師に対する不平がたくさんあることを知りました。私たちの年代は婦人の地位の認められなかった歴史の中
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