教育福島0037号(1978年(S53)12月)-039page

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運営・評価に創意くふうが見られるようになった。

○学級指導の授業は生徒指導の最適な時間であるということの認識が深まった。

○生活ノートによって、一人一人の目標設定がよくでき、達成度も高まりまた、家庭の問題や進路、性格についての悩みなども相談されて学級担任、教科担任との親密度も高まった。

(二)生徒理解(第二研究部)

1)研究のねらい

○心のふれあいをたいせつにし、より深めることにより生徒理解に努める。

○自己理解させ援助の手だてをする。

2)生徒理解のための生活ノートの活用

○一日の生活を反省し、明日への生活の改善を図るとともに、時間的にゆっくり話し合うこともできない学校生活を、ノートを通して教師と心の交流を深める。

3)生活ノートの記入例(表3参照)

このノートに記入する時間は十分間である。

4)実践の成果

○生活ノートを使用してから学習用具の忘れが以前より少なくなった。

○積極的に授業に参加する態度が見られ、授業のめあてをつかまえられるようになった。

○生徒の学校・家庭・交友関係がわかり生徒理解に役立っている。

(三)教育相談

1)研究のねらい

○生徒一人一人の持つ悩みや問題点の解決に努め、自己実現が円滑に図れるよう指導援助する。

○学級担任・教科担任・養護教諭等との連携を図り、学業相談を重点的に実践する。

○事例 自主来談(資料参照)

教科担任との自主来談が行われている。

他に養護教諭との自主来談もある。

(四)特設の日(第三研究部)

1)研究の計画と実践

○一単位時間を三十分とし、当日は四十五分授業とする。

○三つの分野(自学の日、労作の日、体育の日)の活動を学年ごとに分けてローテイションにより年間計画を組み同一分野の同学年実施をさける。

○学級会活動、学年生徒会、常任委員会などによる事前の活動を重視し、生徒に時間的余裕を持たせ計画・運営の活動を援助指導する。

2)実践例 自学の日(表4参照)

六、終わりに

(一)学級指導の中で学業指導を更に充実させ学習意欲の向上を図りたい。

(二)特設の日の内容を深め、更に実践を通して生徒←→生徒←→教師との人間関係を深めるよう努めたい。

(三)生徒指導は、生徒・教師・父母の共通の理解と共同の作業によって実現する。特に家庭と学校の提携を具現化したい。

(四)より新しい方法を考えるよりは、今までの積み重ねをたいせつにして、生徒の上に新しいものが生まれてくることを確信して努めたい。

 

資料 教科担任との相談

○来談者 3年男子 A君(数学の成績 中の下)

○相談内容 「数学の家庭学習の方法は…」

○指導経過

T:数学の学習方法について相談したいということだが,もっとくわしく話してくれませんか。

A:ぼくは小学校のころから教学ができなくて,特に,中学2年頃から授業がむずかしくなり,今ではわからずに通してしまうことが多いのです。進学を前にして,どういう方法で勉強したらよいのか教えて下さい。

T:現在の3年生の大部分の人が,大なり,小なり同じような悩みがあるものです。数学という教科は積み上げ教科ともいわれ,基礎ができていないとより高度な内容はわからなくなり,わからなくなるとやる気がなくなり,よけいわからなくなるものです。反面,わかるようになるとおもしろくなり,やる気が起こるものです。従って,自分のつまずきはどこなのか掘り下げて調べねばなりません。それで, 3年の内容を学習するよりも,自分のつまずいたところにもどってやり直し,次に進むという方法でないと,いつになってもわからないということになります。具体的には,今もっているテキストを1ページからやり直すことです。わからないところは友達なり,先生なりに質問し,わかってから次に進むことです。これは簡単なようで,たいへんな努力が必要です。夏休み中はよいチャンスなので,自分に挑戦してはどうかな。それから大事なことは数学は少しずつでもよいから毎日やることです。毎日の授業で学習したことは,必ずもう一度復習しできるかどうか確かめることです。「わかる」ことと「できる」ことは違います。わかっていても,やってみると意外につまずきが多いものです。

A:(心配そうに)だいたいわかりました。やってみます。それから,参考書とかノートなどにについては。

T:参考書は一冊でじゅうぶん。テキストでやってみなさい。ノートは計算なら書きすててもよいですが,図形や関数では図表がたいせつですから,少していねいに書いてみることです。問題を解くヒントにもなりますし,後に復習するにも役立ちます。また,わからないところには印をして,後で教わってもよいから,必ず解答しておくことです。とにかく,数学はねばり強くやってみることです。

A:では,やってみます。

T:やってみて,なにかあったら,気軽に相談しなさい。

 

表3 生活ノートの記入(1年男子)

表3 生活ノートの記入(1年男子)

 

表4 自学の日

昭和53年9月7日(木) 15時40分〜16時10分 第3学年

学級

3の1

活動内容

○学習の悩みを調査し,つぎの5つのグループに分かれ,悩みの解決法を話し合った

1)学習時間がふえない 2)学習のリズムがでていない 3)勉強が長続きしない 4)勉強を始めるとねむくなる 5)勉強する気がおこらない

反省及び今後の問題点

〇同じような悩みをもっているグループなので,真剣な話し合いがなされた ○担任は必要に応じて指導助言を加えたが5グループ全部に助言するには時間が不足であった

 

 

 


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