教育福島0037号(1978年(S53)12月)-043page

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た、荒晶子先生の「低学年における音楽指導のあり方」との講義を受けて「ほんとうの音楽の授業はこういうものか」とたいへん感動を受け、今までの自分の授業をとても反省しました。

はじめは、ため息をつきつきの受講でしたが、研修を受けているうちに、へたなことなど忘れてみんなといっしょに音楽を楽しんでいる自分に気づき、講師の指導のすばらしさを身をもって体験することができました。

技能教科は、自分が不得意だとどうしても勉強する気になれませんが、この講座を受講して、不得意なものほど勉強しなければと強く感じました。

 

(三)一般教員対象講座

この講座は、小学校の音楽指導に必要な一般的な知識や技能と効果的な指導法などを、協議や実習をとおして研修することを主なねらいとしている。「授業における楽器の奏法と指導」は、リード楽器・打楽器・たて笛の三つのコースに分かれ、研修者の不得意な楽器をそれぞれの奏法と指導のし方の基本を身につけ、授業に生かされるように計画している。

「音楽学習と身体表現」では、児童が興味や関心をもって意欲的に学習活動する身体表現の場面を設定し、楽しく音楽することのなかで基礎的な技能や感覚を育てていく手だてが図られ、研修者みずから児童となり実践的な研修をしている。童心にかえって音楽表現する姿は、研修者に共感をもって受け入れられ楽しい研修のひとときとなっている。

 

三、中学校音楽講座

 

中学校は音楽科の専任教員を対象としているので、音楽のより専門的な知識・技能・指導力を高めるため、次のような内容を入れている。

 

第1日 講義・実習,編曲法〜リコーダー・アンサンブルのための〜

第2日 前日と同じ 実習(希望別研修)〜ギターとリコーダ-の奏法と指導〜

第3日 講義,日本の音楽の指導 実習,箏の奏法

第4日 講義 学習指導法の改善〜移行措置をふまえて〜

 

「学習指導法の改善」は、新学習指導要領をふまえ、改訂の趣旨・教科の目標とその具現化のための指導方法の改善を図っている。

「編曲法」は、授業におけるリコーダーの普及にともなう生徒の実態に即し、すべての生徒が参加できるリコーダー・アンサンブルの効果的な編曲法をねらいとしている。

「日本の音楽の指導」と「箏(そう)の奏法」では、これまで音楽教育のなかで軽視されていた日本の伝統音楽を重点的にとり上げている。現行の学習指導要領からは、共通教材に位置づけられ重視されてきたが、その指導法には問題点が多い。

自国の伝統音楽を教育の場にのせ、自国のすぐれた文化に接し、更に新しい音楽文化の創造へと素地を培っておくことは、教育の重要な使命であり、世界的動向である。

「日本の音楽」を生み出した日本人の心とその歴史的背景や音楽的特性を理解感得し、「箏の奏法」の実習から日本人の音感覚・美意識や音楽観にふれ、体験をとおして実際の指導に役立つようにしている。

研修者から「日本の音楽」の美を再認識し、あすからの指導に自信をもって臨めるとの声がきかれた。

 

箏の奏法の実習

箏の奏法の実習

 

四、高等学校音楽講座

 

この講座は、中学校との一貫性を図るために、講座内容にはそれほど違いはないが、更に専門的な内容をふまえている。

 

第2日 講義・実習,日本民謡を素材とする新しい形式の合唱曲を作る 講義・実習,編曲法〜ポリフォニーによる〜

第3日 講義・実習,編曲法〜ポリフォニーによる〜 実習,箏の奏法

第4日 講義・実習,教材研究のすすめ方

 

「編曲法」では、一般に行われている機能和声による編曲法ではなく、多様な音楽へ発展できるポリフォニーによる編曲の技法を学び、「民謡を素材とした合唱曲をつくる」では、新学習指導要領で示された身近な「郷土の音楽」を教材化する一方策として、福島県の民謡を素材とした合唱曲をつくるという画期的な内容である。

これまでの西洋音楽の作曲技法ではなく、日本の音組織・音感覚に基づく音楽づくりを指向している。

前述の「編曲法」とあわせて、西洋的な手法と日本的な手法を比較研究することによって、両者の特徴やよさを理解することもこの講座のねらいの一つである。

 

以上は講座の主な内容であるが、講師の先生がたの適切な指導助言と、研修者の熱心な研究態度に支えられて、予想以上の成果をあげている。

 

 

 


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