教育福島0038号(1979年(S54)01月)-009page
理解を深め、語彙を増し国語の力を高めようと考えた。
(2) 語句帳を採用し、読解並びに語句学習に役立てる。
昭和五十二年度一学期末に「語句帳」を使用し、漢字、語句学習に取り組んだ。これには、毎日学習した内容、家庭での学習内容などを書くようにした。
内容としては、
・読解にかかわる語句の意味調べ
・言葉集め、・漢字集め、・類義語集め、短文作りなどを主とした。
(3) 事後テストを実施する。
資料2のような内容のものを各単元の学習終了一週間後に実施した。内容は仮説に基づいて評価し易いように、六設問三十五題とした。
なお、検証のために取り扱った単元(教材)は資料3のとおりである。
◇ 検証授業の一例(資料4参照)
ここでは、反意語「記憶⇔忘却」と語句「気になること」の類縁関係(気がかり、意識するなど)に着目させ、徹底させることを意図した。
限られた時間内に指導できる語句は、せいぜい五つである。従って、読解指導の中で取り扱う語句は、年間の見通しをもって選択した。これらを平素の授業の中でたいせつに取り扱い、学習のしかたを身につけさせ、児童の自発性を促すことを重視した。
このような指導から、児童は語句学習の目を開き、興味をもち、学習への取り組みを広げてきた。
(五) 研究のまとめ
(1) 仮説の有効性の有無
1) 検証授業後に行った語句テスト結果は資料5の通りである。書字力に関する内容が低迷しているが、他は期待した結果が得られた。
児童個人の変容を見るために実施したワークテスト・期末語句テスト・標準学力テストは、発達段階に即し、同一の水準で問題が作成されているので、有効度判定の目安の一つにすることができた。
資料2 事後語句テストの設問とねらい
問1 次の言葉に読み仮名を正しくつけなさい。(読字…本設問には、その教材に初出の読み替えかか、新出の熟語などをとり上げた。)4問
問2 次の言葉を漢字に直しなさい。(書字…本設問には、新出、既知の漢字を問わず、字形の似た漢字を含む熟語を意図した。(敵)味方と(適)切というように。)4題で8問。
問3 次の言葉の対になる言葉を書きなさい。(反意語…学習の中では同義語と反意語双方を指導したが、ここでは反意語一本に絞ってみた。)6問
問4 次の漢字をつかって、熟語又はことばを三つ書きなさい。(語彙、完全答でなくとも正しく書いてあるものについては正答とみとめ1点を与えた。)3題9問
問5 次の漢字と字形の似ている漢字を二つ書きなさい。(漢字の構成…完全答でなく、一つでも正しいものは正答とみとめ1点を与えた。)3題6問
問6 次の言葉を使って短文を作りなさい。(語句の意味、はたらき…)4問
資料3 検証のための単元名・教材名
実施時期 単元名,教材名 指導時期 備考 昭52
9月・情景を思いうかべながら読もう(物語)野ばら 8時間 第2回校内研究会 昭52
10月アンリー・デュナン 学習指導案は作らなかったが、研究的に扱い、事後の語句テストを実施した。 昭52
11月・言葉について考えよう(言葉…論説文)心と言葉 9時間 第3回校内研究会と重ね、6時目を本校の全教員に見てもらい、指導を受けた。 昭52
12月・心のふれ合いを読みとろう(物語)トナカイを守る 10時間 西白河地区新任教員研究会と重なり、6時間めを、西白河地区の新任の先生に見ていただいた。 昭53
2月・読んで知識を深めよう(説明文)心のはたらき 13時間 白河一小研究公開と重ね、8時間目を県内外の先生がたに見ていただき、御指導を受けた。 昭53
3月・ものの見方や考え方に気をつけて読もう(紀行文)ケニアの旅 学習指導案は作らなかったが、研究的に扱い、事後の語句テストは実施した。
資料4 検証授業指導案
資料5 事後語句テスト 観点別学級平均正答率(%)
教材
設問野ばら アンリー・デュナン 心と言葉 トナカイを守る 心はたらき ケニアの旅 全体 1.読字 4間 92 92 95 96 93 93 93 2.書字 6問 66 79 82 72 72 87 76 3.反意語を書く 6問 65 64 64 66 78 71 68 4,語いを書く 9間 86 86 90 85 87 80 86 5.漢字の構成 6問 80 97 85 96 84 90 89 6.語句のいみ短作 4問 90 87 93 96 95 96 98 全体 35問 79 84 84 84 84 85 83
資料6 評価段階の比較
事前(S52.7実施)と事後(S53.6実施)の比較
資料7 領域ごとの学級平均正答率の比較(%)