教育福島0038号(1979年(S54)01月)-017page
いうような、学習活動によって培われると考えれば、このような結果になったのは、当然のことであった。
(二) 実践の方針
「生徒みずからが学びとる意欲・態度の育成」を、今後の指導課題とし「生徒の自己評価を導入した学習指導」をくふうすることによって、課題にせまりたいと考えた。
1) 指導過程の中で適時評価し、その結果が、明日の授業に生かせる評価のあり方を追究する。
2) 毎日の授業に負担過重にならないよう、背のびをしない実践にする。
3) 過去の実践で得た有効な方法は、更に改善をして生かしていく。
4) 校内研究との連携を密にし、個人の実践が生かせるようにする。
5) 自己評価することによって「授業がわかる、問題が解けるようになる」といった喜び、満足感を経験させ、生徒みずからが、自己評価することの必要性、有効性を感じとるようにする。
6) 評価のポイント基準を明示し、自己評価ができるだけ生徒の負担、苦痛にならないようにする。
(三) 実践の計画
1) 対象……教科担任クラス全員
(一の三〜一の七 計二百十名)
2) 教材……一年・理科・第一分野
「力のはたらき」を中心に実践した。
3) 検証計画
〇十項目についての事前・事後調査結果の比較
○実践内容についての生徒アンケート調査
○生徒の感想文
○教師の日常観察
○事後テストの結果と、そのは持率
(四) 実践の経過(資料2参照)
(五) 実践内容
(1) 自己評価の位置づけ
毎時の指導過程の中のフローチャートに◆の記号によって、自己評価を位置づけた。評価回数は、単位時間あたり一〜二回を原則とした。◆の記号は、相互評価を意味する。(資料3参照)
(2) 自己評価のさせ方
生徒が自己評価可能である、また、そうすることが、より有効であると思われるところを設定し、主に、次のような方法で意図的に自己評価させた。
1) 教師の説明や、TP等の提示物をもとに自己評価させる。
2) 他の生徒の意見や発表、グループ内での話し合いをもとに、自己評価させる。
(3) 自己評価のための手だて
1) 本時のねらいと、学習内容のポイントが理解されている。
2) 評価する内容と、その評価基準がは握されている。
○学習資料(手引き)と学習
○グループ学習の充実
自己評価のための手だてとして以上二点について実践した。
(4) 座席表による、毎時の観察記録
クラスごとに座席表を作成し、毎時の観察したことを記録した。チェック・リスト等の方法を実践してみたが、教師の負担が大きく、実用的でなかった。
(5) 自己評価表の処理
1) 次時の指名への活用
自己評価表を回収し、名簿に転記し、Cの評価をした生徒をは握し、次時で意図的・計画的に指名ができる。
2) 本時の反省と次時の指導への活用
名簿に転記した後、項目ごとに平均を求め、グラフ化する。生徒側から見た、教師の指導に対する評価として、活用した。
(6) 章が終了した段階
1) 診断カルテの作成
問題の診断内容を明記した個人カルテに○、△、×の記号をかき、自分のつまずきを知る。
2) テスト結果の記録と分析
表・グラフに結果を記録し、個人及びクラスの傾向をは握し、指導の反省資料として活用した。
(六) 実践の結果
(1) ◆項目による生徒像の変容
資料1のように、Cが減少し、Aが増加しており、生徒の学びとろうとする意欲や態度が向上した。
課題に取り組む生徒たち(二本松一中)
資料2実践の経過