教育福島0039号(1979年(S54)02月)-019page
各学校では、この新学習指導要領及び指導書の内容についてじゅうぶん研究を進め、移行期間中の特例として示された移行措置に従って、創意くふうし充実した学習活動を展開するとともに、次年度からの完全実施を円滑に行うためにも、次の諸点に留意して努力する必要がある。
一、充実した学習活動ができるよう指導内容を構成し指導計画の改善に努める。
(一) 各学年の目標を的確におさえるとともに、児童の心身の発達上の特性をふまえて、興味・関心をもって意欲的に表現活動ができるよう題材の設定等をじゅうぶん吟味して計画の改善を図る。特に低学年では、合科的指導や総合的指導が実践できるよう配慮する。
(二) 題材の設定に当たっては、指導内容に偏りが生じないようにするとともに、各題材の指導内容の関連を明確にして重点的な指導ができるよう計画する。また、地域特有の造形的素材を生かすなど実態に即した題材についてもくふうする。
(三) 材料及び用具の使用に関しては、直接手による経験を重視し、基本的な種類や品目にしぼって系統的、発展的な指導ができるよう計画する。
(四) 鑑賞の学習については、表現の学習に付随して取り扱い、見ることによって表現意欲を高めることを助長するよう計画する。
二、表現製作の喜びをいっそう深く味わわせる授業の展開に努める。
(一) 子供の目と心で直接対象をとらえる感受の段階や、子供自身のアイディアを広げる発想の段階を重視した指導についていっそう研究を深める。
(二) 表現過程において、意欲的な活動をさせるため、個人差に応じて適切な指導助言ができるよう指導方法等について研究を深める。
(三) 作品の効果のみを追った指導に陥らないようじゅうぶん留意し、児童の発達段階や個人差に応じた造形的な見方、考え方、表わし方をたいせつにしながら、ねらいに迫る指導をする。
(四) 適宜共同製作を取り扱い、協力しながら大作をまとめる喜びを味わわせるようにする。
(五) 評価に当たっては、作品の評価のみに偏ることなく、学習過程における評価を適切に行い、児童一人一人の理解を深めるとともに指導計画や指導法の改善に役だてるようにする。
三、施設・設備を計画的に充実し、表現や鑑賞の活動に活用する。
(一) 各題材の指導が、効果的に進められるよう、施設・設備を計画的に充実する。特に低学年の造形活動にかかわるものについては、実態に応じてくふうし、支障を来たさないよう留意する。また、現有の施設・設備についても常に活用できるよう整備に努める。
(二) 各学年の鑑賞の指導に関連して、校内の適切な場所に作品を展示し、学校生活全般を通じて随時鑑賞できるようくふうする。
(三) 教材・教具等の整備・保管、活用については、効果的な方法をくふうするとともに、その取り扱いについては事故防止にじゅうぶん留意する。
中学校
新学習指導要領・美術は、創造的な表現製作の喜びをいっそう深く味わわせることに重点を置くととともに、指導の効果を高めるため、領域を整理統合して、基本的事項を中心に内容を精選するなどの方針によって改訂された。
従って、これまで以上に学校・教師の創意くふうが要請されるようになった。
今年度は、移行措置第二年目に当たるので、新学習指導要領及び指導書についていっそう研究を深めるとともに、移行期間中の特例として示された移行措置に従い、生徒一人一人を生かす充実した授業を展開するため、次の諸点に留意して努力する必要がある。
一、意欲的な表現や鑑賞の活動ができるよう指導内容を構成し、指導計画の改善に努める。
(一) 美術科の基本的な性格と指導のねらいを明確にして、生徒一人一人が主体的に取り組めるよう教材(題材)の選定、配列をくふうし計画の改善を図る。
(二) とりあげる教材(題材)によってどのような造形能力が養われるのかを明確にするとともに、指導内容に基づいて教材(題材)内容を精選したり、統合するなどして重点的な指導を進める。
(三) 各学年の表現及び鑑賞のそれぞれについて内容の調和を図るとともに、地域性や季節、行事等との関連を図って意欲的な学習活動ができるよう配慮する。
(四) 材料や用具及び表現技法については、基本的事項を明らかにして、生徒の能力、興味、必要、願望等に応じて選択するとともに、範囲を広げ過ぎたり高度な取り扱いにならないようにする。
(五) 指導計画と教科書の内容との関連を図って教科書を活用する。なお、改訂によって削減されたり、削除されたりした教科書の内容についても、鑑賞等の学習に活用する。