教育福島0040号(1979年(S54)04月)-030page

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研究実践紹介

理科学習に意欲的な子どもの育成をめざして

梁川町立粟野小学校

 

一、はじめに

 

本校では、「自ら問題を持ち、解決していくための観察実験の手だてをどのようにすればよいか」の研究主題のもとに、三年間研究を進めてきた。

その間、町教委の研究指定をうけ、「教師自身が、理科の指導に積極的にとりくめば、子どもも、意欲的に理科の学習ができる。」を全職員の合言葉として研究にあたった。

 

二、研究仮説と研究の見通し

 

研究主題にせまるため、次の研究の仮説を設定し、その検査のため、研究の見通しをたてた。

(一) 研究仮説

理科の学習のめあてを自分では握し、その解決の見通しを立て、それを解決し、その結果を確かめ、学習で得たものを活用できるようになれば、科学的な能力や、態度も高まる。

(二) 研究の見通し

1) 問題意識を持たせ、それを持続させるためのくふうをすれば、課題は握が自力でできるようになる。

2) 観察実験の基礎的技能や、科学の方法が身につき、さらに学習訓練を徹底すれば、自力での学習により近づく。

3) 理科的な環境を整備充実すれば自力で学習する意欲が高まる。

 

三、研究内容

 

研究の見通しをうけて、研究内容をきめた。その主なるものをあげる。

(一) 問題意識を高め、それを持続させるための研究(問題場面の設定の方法と、事象提示の方法と内容)

(二) 観察実験の基礎的技能の指導、科学の方法の指導、学習訓練の指導等の研究

(三) 理科的環境の整備充実

 

四、研究の概要

 

(一) 基本的指導過程(表1参照)

理科の学習方式については、いろいろな方式が考えられるが、子供がみずから課題をは握し追求していく問題解決の学習でもあり、みずからの力で自然の事物現象を探究する学習でもある。

本校ではこれらをふまえ、次の五段階の指導過程を基本型としておさえ、これを理科の指導に適用することによって、全体的な学習が成立し、科学的な能力や態度の育成をめざした。

1) 課題は握の段階

2) 予想の段階

3) 検証の段階

4) 考察・表現の段階

5) 発展・適用の段階

(二) 「学習のしおり」(表2参照)

基本的な指導過程の各段階で、子供が具体的にどんなことをするのか、見通しをもって、各段階ごとに主体的な学習を進めるため、低・中・高学年ごとに「学習のしおり」を作成し、常時児童に持たせ、活用させた。

ノートづくり、予想・検証と学習全体の流れを知り、それぞれの能力に応じた学習の進め方に役立てている。

(三) 課題は握の効率化と問題意識を持続させるための事象提示の方法強い課題は握が、意欲を高めることを考え、本校では、短時間で効率的な課題は握のために、次の五つの方法を中心にして実践した。

1) 教師の演示実験による方法

2) 児童による問題発見のための実験による方法

3) 予習的課題から入る方法

4) 発展の段階で次の課題をつかむ方法

5) 教師からの課題提示の方法

(四) 実験系統一覧表の作成(表3参照)

実験観察の操作技能は、系統的に段階をおさえて指導を徹底させないと、次の学年での学習指導上にも支障をきたす。そこで本校では、各学年における実験操作を一覧表にまとめて全体的な立場から指導ができるようにした。

領域は「物質とエネルギー」にとどめたが、この実験系統一覧表により、学年の実験操作技能と指導の重点が明

 

 

 


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