教育福島0040号(1979年(S54)04月)-037page

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知っておきたい教育法令

日本学校安全会の制度

 

はじめに

 

児童生徒にかかる学校事故が教員の故意又は過失によって生じた場合や、学校の施設の設置又は管理に手落ちがあって生じた場合は、国家賠償法又は民法の規定により学校設置者等が損害を賠償することになっている。(本誌五十一年四・五月号「学校事故について」参照)

しかし、賠償を受けるためには、被害者側が学校側の過失等を立証する必要があるが、これは困難な場合が多く迅速な被害者救済という点からは問題がある。

学校事故の被害者救済の制度としてこのほかに、日本学校安全会による「災害共済給付」がある。

 

一、日本学校安全会の目的としくみ

 

日本学校安全会は、学校安全の普及充実を図るとともに、義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の負傷、疾病、廃疾又は死亡に関して医療費、廃疾見舞金又は死亡見舞金の給付を行い、もって学校教育の円滑な実施に資することを目的として、日本学校安全会法(昭和三十四年法律第一九八号)に基づいて、昭和三十五年三月に設立され、同年四月一日から業務を開始した。(法第十八条参照)

ところで、安全会の災害共済給付は義務教育諸学校を中心に学校の設置者が児童生徒の保護者の同意を得て安全会との間に締結した災害給付契約に基づき、児童生徒の保護者に対して行われるものである。(法第十八条第二項法第十九条第一項)

また、給付源資となる共済掛金は、契約を締結した学校設置者が安全会に対して支払わなければならないとしている。(法第二十条第二項、法第二十三条)

 

二、災害共済給付事業の内容

 

安全会の災害共済給付事業は、共済掛金と国庫補助金とを財源として、義務教育諸学校の管理下における児童生徒の災害(負傷、疾病、廃疾、死亡〈施行令第三条〉)とに対し、次のような給付を行う。

1)負傷、疾病の医療費につき、健康保険基準による療養額の十分の四程度で五年間、2)廃疾見舞金は最高千五百万円の一時金、3)死亡見舞金は千二百万円(2)3)について、通学途上の場合は半額)

なお、高等学校、高等専門学校、幼稚園及び保育所(当分の間)についても、義務教育諸学校と同じ給付を行っている。

ところで、災害共済給付が行われる学校の管理下の範囲は、施行令第三条第二項に定められている。これによれば、学校の管理下とは、1)学校が編成した教育課程に基づく授業を受けているとき(各教科の授業、遠足・修学旅行・運動会などの学校行事、児童会・生徒会活動、学校給食、クラブ活動など)2)学校の教育活動に基づく課外指導を受けているとき(臨海・林間学校課外の部活動など)3)休み時間その他校長の指示又は承認により学校にあるとき(始業前、業間、昼食時休憩時、放課後などの時間)4)通常の経路及び方法により通学するとき、5)文部大臣が定める場合(施行規則第二条の二参照)

 

三、災害共済給付にかかる留意点

 

災害共済給付は、非常災害による災害については行わず、また他の法令により、国又は地方公共団体の負担によって治療等が行われた場合、その限度において給付を行わない。(生活保護家庭の児童生徒については医療費の給付はない)さらに、高等学校(又は高等専門学校)の生徒が故意に又は故意の犯罪行為によって災害を受けた場合は給付しない。(施行令第十二条二項)

なお、安全会は災害共済給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、給付を行ったときは、その給付の限度において当該災害に係る児童生徒等が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。また学校設置者は安全会に特別掛金を支払う免責特約を結ぶことによって、損害賠償の責を免れることとなっている。

 

 

 


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