教育福島0041号(1979年(S54)06月)-008page
潮の影響をまっこうからうけているということができるだろう。
(2) 家出
家出の傾向は、表2にみられるように小学生女子はここ数年横ばい状態を示しているが、小学生男子及び中学生は年々増加してきている。特に中学生女子の増加については注目したい。
家出の原因・動機としては、家庭関係によるもの−家庭の不和、不満、不信感など家庭における人間関係の問題に起因するもの-が小学生で二二・五パーセント、中学生で三〇・八パーセントで最も多い。両親が健在でありながら、仕事にもつかず生活保護を受けていることに不満をもち家出した中学一年生の事例もみられた。
次に多いのが、勉強・学校ぎらい等の学業に関するもので、小学生一九・四パーセント、中学生で二〇・五パーセントの高率を示している。女子中学生では異性関係による者が八名出ており現況からみて今後増加す一ることを予想して指導する必要があるだろう。
また、家出の傾向として複数による家出の傾向があることにも注目して指導に当たる必要がある。施設収容中の中学生二人が家出し、宮城、山形で出店荒し等を重ね、県内に戻って事務所荒し中を発見保護された事例のように、単なる家出だけでなく、窃盗、性非行等の他の非行につながる場合が多いことに注目したい。
(3) 自殺
小学生では過去六年間一件も発生していないが、中学生の場合は毎年二〜四件発生している。
自殺の原因・動機は複雑であり、正確に判別できない場合が多いが、勉強疲れによるノイローゼ、進学問題に悩んでといった学業不振や保護者のしっ責等の家庭内における問題によるものが多い。
(4) 性非行
性解放の風潮や風俗環境の悪化の中で、中学生の性非行は増加している。県警防犯少年課の資科によると、昭和五十三年における女子少年の性非行中に占める女子中学生の割合は、二一パーセント弱となっている。前年の十人が昭和五十三年には四十人で四倍の増加がみられ、中学生による性非行はエスカレートする傾向にあることを示している。
動機としては、「みずからすすんで」が二十九人、「誘われて」が、十一人となっており、「誘われて」、「みずからすすんで」のうち「興味・好奇心から」というのが全体の九五パーセントを占め、遊びの性非行が目立っていることに注目したい。また、特異なものとしては、さびしくて、遊ぶ金が欲しくて、というのも一人ずつみられた。
性非行においても低年齢化の傾向がみられ、前年に比して十四歳で九人増加しているばかりでなく、昭和五十二年に補導された者のなかった十二歳、十三歳が、昭和五十三年には十四人発生している。純潔教育、性教育の重要性が痛感される。
次に性被害(強制わいせつ)を過去三年間についてみるとやはり増加している。学校種別では中学生よりも小学生が多くの被害を被っている。昭和五十二年には中学生皆無に対して、小学生の被害八件、昭和五十三年には、中学生三件に対し、小学生九件発生している。(義務教育課への事故報告から)通学路を含めた通学方法の検討や痴漢から身を守る指導を徹底しなければならない。
性加害においては、昭和五十一年、五十二年に中学生に各一件発生しているが、昭和五十三年には発生していない。このことは各学校における指導の成果とうけとめたい。
(5) 無免許運転
自動車、バイク等の無免許運転事故報告のあったものは、昭和五十一年度二件、五十二年度十件、五十三年度は十五件と急増の傾向がみられ、しかも中学生に限られている。機械類に興味をもつ年代であるところに、農村地城では耕うん機による農作業の手伝いをさせたり、バイクによる買物をさせている実態もあることから、運転のできる、又は運転の経験のある生徒はかなりの数になると思われる。無免許運転は窃盗等の非行と関連があり悪い事をしているという意識もなく、さらに生命にかかわる事故につながるものとなるので、生徒指導の面からはもちろん、事故防止上からも、今後の大きな課題である。
事故報告から共通していること
○家庭でカギの保管がよくないため、いつでも持ち出せる状態になっていること。
○たまり場において相談をし、計画を立て実行していること。
○バイク運転は休日に、自動車運転は深夜に行われることが多いこと。
○家族が運転に対して注意義務を怠っていること。
○単独で行うことは少なく、集団で行っていること。
○窃盗の場合は、事故をおこして乗り捨てたり、途中で別の車に乗りかえたり何台かを窃盗していること。
(6) 薬物乱用
薬物別ではシンナーによるものが大部分で、ボンドなどの接着剤を用いるのは減少している。小学校では昭和五十二年に一件あったが五十三年に補導されたものはなかった。中学生は前年より二十一件増加の六十五件にのぼっている。特に注目すべきは、今までな
表3 家出の原因・動機
区分 小学校 中学校 計 家庭(家族)関係 7 45 52 学業関係 6 30 36 犯罪関係 2 4 6 異性関係 0 8 8 その他 16 59 75 総数 31 146 177