教育福島0041号(1979年(S54)06月)-011page
○不安や悩みを理解してやること。
○スポーツや演劇、合唱など興味をもつものに熱中させること。
○催眠療法等の特別な技術を要するものは専門家にまかせることが望ましい。
○「やってはいけない」「これは悪いことだ」ということを知識としてはわかっているので、知的なものの指導よりも、情感にうったえるようにすること。
○罰を用いる方法もあるが、一時的解決にはなるが、本質的解決とはならないので考慮すること。
○児童生徒のいうことを共感的態度で聞いてやること。(治療的効果が大きい。)
○子供に対する見方を親に変えてもらうこと。
○子供が興味をもってやりとげるようなものをもてるようにすること。
○教師も先入観や偏見で見るのでなく得意なもの、すぐれているものを見つけて、それを伸ばすように援助していくこと。
三、事例研究のすすめ方
統計的にいろいろなものを集めて判断するという方法に対して、一人一人具体的事例(児童生徒の問題)を中心に参加者の討議によって、多角的に追求し、より正確な診断(原因の解明)と、より適確な処置(治療又は治療的指導)の方法を見い出して、当該児童生徒の指導に当たろうとするものである。事例研究会を効果的にするためには、構成員の臨床的な力をつけることと、討議の運営になれることが必要である。臨床的な能力を養うためには専門家の指導をうけることも考えられるが、事例研究会を重ねることによって養われるものであるから、校内における事例研究会を着実に実践したいものである。
事例研究の種類
校内で行う事例研究には、1)全職員による事例研究会(小規模校の場合に適する。)2)教育相談係による事例研究会3)学年会における事例研究会の二つが主なものであるが、その他の方法も学校の実態に応じて考えられるであろう。
また、事例によっては児童相談所の職員、民生児童委員等の関係者の協力を得ることなども考えてよいだろう。教育相談係による事例研究会は、校内におけるものとしてはやや専門的となり適確な診断と治療の方法を見い出すことができるであろう。ここでは普通一般に行われる学年会における事例研究会について述べることにする。
2学年会における事例研究会
(1)構成 学年所属教師全員(副担任も含む)のほか、必要に応じて生徒指導主事(主任)及び養護教諭の参加を求める。また、校長・教頭の指導助言を受けることも考えられる。
(2)運営 司会は輪番制にして全員が当たるようにする。このことによって事例研究に対する関心を強めるとともに資質を高めることになると思われる。記録も学年会記録簿に記録し、事後、学級担任が個人カードに転記する。進め方は形式にこだわらず、自由な話し合を進めるが、次の基本的手順をふまえて進めなければならない。
〔問題点を明らかにする〕→〔必要な資科を集めて検討する〕→〔原因を明らかにする〕→〔指導についての具体的な方針を定める〕
(3)資科(スペースがないので項目だけをあげる。)1)家族関係 2)居住状況 3)生育歴 4)資質能力 5)学校生活の記録その他関係教師の観察事項や他の児童生徒や父兄などの情報などできるだけ多くの資科を準備することが望ましい。
(4)診断 指導方針を立てるときたいせつなことは、方針は固定したものでないということである。子供は刻々と変化していき、収集される資料には限りがある。したがってその方針が不適当な場合はそれを変えていかなければならない。さらに資料は断片的なものでなく、多くの資料を準備し総合的に解釈していくこと。新しい資料を整え、その資料に基づいてたえず修正していくことが必要である。このようにして立てた方針も、事例によっては学校だけで実行できない場合も出てくるので、学校以外の機関や関係者の協力も必要になってくる。(事例研究の流れ参照)
事例研究の流れ