教育福島0041号(1979年(S54)06月)-013page

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生徒指導の実践と地域活動の現状

 

た。すなわちホームルーム経営に、閉鎖的な姿勢が見られるということである。

 

自分の担当クラスの生徒には注意しても、他のクラスの生徒については、みてみぬふりをしたり、また注意しようという意識がはたらかなかったり、ホームルーム担任であるまえに、その学校の職員たる自覚が不足しているなどの事例発表があった。すなわちホームルーム経営に、閉鎖的な姿勢が見られるということである。

1 このことについてはまず、ホームルーム担任は、クラスの一人一人の生徒を理解し、掌握していることはもちろん重要なことであるが、自己の責任を強く自覚するあまり、ホームルーム王国的な考えにおちいり、自分のかかえる問題生徒を自分一人だけで指導しようとする閉鎖的な態度をとらないように留意すべきである。

2 また、他のホームルーム担任、学年主任、生徒指導主事、部顧間教師などは、すべて協力者であり、相談相手である。感情や体面などにこだわらないで、多くの関係者の協力を求め、広い視野に立って指導に当たるべきである。

3 さらに、学校経営、管理の責任者である校長や教頭は、生徒指導に関する基本構想を明らかにすることによって、その構想に基づいた指導方針、方法、役割の分担などに対する全教師の協力が得られるように配慮することが必要である。生徒指導体制の不明確さがまねく教師間の共通理解の不足が教育活動全般を停滞させる要因となるからである。

(四) 生徒指導推進のための研修

生徒指導に関する理念や方法の共通理解が得られても、具体的な取り組みに差があっては生徒指導の徹底は図れないので、事例研究会などを実施して同一歩調をとるように努めなければならない。真の共通理解は協議や討議の積み重ねだけでなく、実践を通して、相互に歩調を合わせ、徴調整を重ねていく過程の中から生れるものである。

1 全教師を対象に事例研究会などの研修会を計画的に実施して、生徒指導に関する理解を深め、生徒指導の基盤を培い、全教師の生徒理解の質を高め、生徒に対する指導力の向上に努めることはきわめて重要である。

2 Y高校では「学習意欲を高めるための生徒指導」「不純異性交遊防止の指導」(「若い性のカルテ」映画鑑賞)などのテーマで話し合いをもち相互に啓発しあって共通理解を深めるための研修会を実施した旨の発表があった。

(五) 学年体制と学年主任の役割

リーダーシップをとる係の一方的な姿勢が全教師の共通理解を阻害し、ホームルーム担任が、生徒指導体制との調和に苦労している例もある。

1 ホームルーム担任のおかれている生徒指導上の立場を効果的に機能させるためには、同一学年のホームルーム担任の協力関係を育成することが最善の方法であり、ここに学年会の存在意義とともに学年主任の果たさなければならない役割がある。

2 学年主任は、学年経営のリーダーとして、学校の教育目標や経営方針に基づき、ホームルーム担任とともに学年の教育計画を作成し学年生活の指導を効果的にすすめるため協議や調整をするなど幅広い視野と指導力をもつプランナーであることが望まれる。

3 S高校では、生徒指導部と、ホームルーム担任との合同会議を定期的に開き、各学年の生徒指導上の問題点をは握するとともに、指導部より指導事項を提案するなどホームルーム担任との相互理解を図るよう努めている。

(六) 生徒指導部のあり方をめぐって

生徒指導部はもっぱら生徒非行の後始末や処分など、いわば「取締り」機関となってホームルーム担任による日常指導との対立がしばしば見られると自己批判めいた意見もでた。

1 生徒指導部が特別指導措置のみに追われ、一時的な問題生徒の対症療法に終始しているとすれば、当然反省を求められるべきであろう。

2 生徒指導を担当する教師には、その人格識見に期待されるものが

 

 

 


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