教育福島0041号(1979年(S54)06月)-014page

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多いことはいうまでもない。

もし、それが独断的、独善的であり、校内指導体制の人間関係を損ない、その結果、生徒指導部が浮きあがった存在となって、その機能を果たさず、しかも他の教師の不信を招ぐようなことがあれば、教師間の共通理解はもちろん、生徒指導の成果はまったく期しがたい。

3 生徒の成長に対する教師の役割を忘れ、学校の立場やめんつにとらわれた形式的な指導にながれ、生徒の幸せをねがって、いかに人間教育を基底とする指導をすすめるかという本質を見失った生徒指導部であってはならない。

4 これらの反省に立って、生徒指導部の各係が有機的に機能しているかどうかをたえず検討してみる必要がある。

また学校における生徒指導上の課題を明確にし、課題解決のための効果的組織も考えてみたい。

5 H高校では、交通事故、違反の多発を憂慮し、交通指導委員会(六人編成)を組織し、それぞれ二人一組で要所要所に、早朝と放課後、現場指導にのりだし、スピード違反や整備不良バイクなどチェックして警告を発するなど、能率的でしかも効果的な実践を長期にわたり展開した結果、事故や違反が激減の傾向にある。

生徒指導体制の問題は、生徒指導の考え方を展開する手段の問題であるので、関係者のすべてが基盤とする理念をしっかりふまえた上で、地域や学校の実態に即して最大の実をあげられる体制を作るよう努めることがたいせつである。

二、教育相談活動の充実

近年、生徒指導を進めるために、学校における教育相談活動の充実が叫ばれて久しい。

しかし、生徒指導の実態は従来からの「経験」と「カン」に頼り、ホームルーム指導も創意くふうが比較的少なく、形式的、常識的な話し合いの場として終始していることが多い。

現代のように変動の激しい社会のもとで成長発達をとげている生徒は、精神的健康を保つことはかなり困難で、すべての生徒が不適応をおこしかねない状況下にあるといえる。

このような生徒たちを、心身ともにより健全に育成し、一人一人の生徒がそれぞれの、社会的自己実現ができるように指導することは基本的な課題である。

この重要な役割を果たす手だてとして教育相談がある。そのため、教育学や心理学、カウンセリング、ホームルームやクラブ活動などに関する知識や能力を高め実践することが要請されている。特に、すべての生徒が悩みや問題をもつものであるという認識に立って、それぞれの学校が、教育相談体制をじゅうぶんに機能するよう早急に検討しなければならない。

以下、現在教育相談の体制を積極的に検討し、改善に取り組んでいる実践例を紹介する。

(一) 非社会的傾向にある生徒の指導

-福島高校-(昭和五十二年〜五十三年度県教委研究指定校)

この学校においては、伝統的に、「生徒指導」より「教科指導」により多くのウェイトがかけられているとみられてきた。

しかし、近年は生徒の一人一人が、いろいろの面で悩みをかかえ、問題を持っており、そうした問題行動を示す生徒は年々漸増の傾向をたどっている。

このような現状から生徒指導の重要性があらためて認識され、生徒指導体制の見直しと、生徒の問題傾向から特に教育相談の窓口を開くこと、そして、すべての教師が教育相談的手法を取り入れた生徒指導に取り組むこととなった。

研究内容

1 生徒の実態のは握

生活状況調査

ほとんどの生徒の家庭は、核家族で、長男や次男で育っており、また両親の共働きが多い。

生徒たちは深夜まで勉強し、自分の健康に自信をもつものは少ない。

2 悩みの調査

(1) 生徒の最大の悩みは、学業に関することで、勉強が思うように進まないことである。

(2) 悩みごとを相談する信頼できる友人がほしい。(八十三%)

(3) 親身に、気軽に相談できる先生がいない。(七十%)

3 意識調査

(1) 生徒の自立への欲求は強い傾向を示し、口やかましく、子供あつかいにしないでほしい。(八十%)

(2) 現在の生活について生きがいを感じない。(三十七%)

4 YG検査

(1) 問題傾向の強い不安定積極型のB型と、不安定消極型のE型の発現率を見ると、学年が進むに従って両者とも高くなり、全国の平均値と比べると、安定型(C・D型)平均型(A型)が少なく、不安定型(B・E型)が多い傾向がみられる。

(2) B・E型の生徒は、実態調査との関連からみると、家庭での話し合い、親と子の相互理解、友人との協調、生活に対する生きがいと満足感に欠けている結果がでている。

指導の組織づくり

研究推進体制は、生徒指導委員会を中心として組織し、総務、調査統計、教育相談、事例研究、資料係の

 

 

 


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