教育福島0041号(1979年(S54)06月)-016page

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ニングを受け、教訓的・評価的・常識的な生徒との話し合いから脱皮して、教育相談的姿勢を身につけることがたいせつである。

集団指導の中における教育相談

各教科の指導、ホームルーム、クラブ活動、学校行事などにおいて、集団治療の手法(グループカウンセリング、グループワークトレーニングなど)によって教育相談をする方法も有効である。

 

H・Rでの討議(福島西女)

 

H・Rでの討議(福島西女)

 

三、集団生活における規律の維持向上

(一) 生徒の実態と「しつけ」

1 始業のベルが鳴っても教室に入ろうとせずに遊んでいる者

2 教室の窓から教師に向かってどなったり、からかったりする者

3 牛乳の空びんやパンの袋等教室内に放置したり、ときには友達のべんとうを無断で食べてしまう者

4 登下校の途中、商店に立ち寄りインスタントラーメンを食べ、終わると喫煙する者等々

以上は、昭和五十二、五十三年度文部省高等学校生徒指導推進校、磐城農業高校が生徒規律の状況としてとらえた問題点である。

このような基本的規律の欠如は、磐農高に限ったことではなく、最近多くの高校にみられる現象であろう。

これらの生徒たちは善悪のけじめがつかずに、それらの行為をするのではなく、それらが悪いことであることを承知していながら、むしろ衝動的にやっていることが理解される。

いうまでもなく、規律は、人を不自由にするためにあるのではない。規律が確立した集団においてはじめて、各構成員の利益が守られ、各人は相互に自由になるのである。

規律は、狭義には規則と同意に用いられる。しかし、一般的には規律は教育作用の結果として、個人や集団の態度や行動に形成される正しい「けじめ」であると考えられる。

さらに、その規律を形成するための教育作用の主たる柱が「しつけ」であるといえよう。

前述のような、高等学校生徒の実態を改善し生徒の生活を向上させるこのが、現在の高等学校の大きな課題となっており、この課題に積極的に取り組むために次の点に留意したいものである。

・学校における「しつけ」の前提条件として、教師の意志、姿勢を統一することが最も重要である。これが実現されれば、規律確立のための方法や技術はおのずから解決されよう。

・「しつけ」の指導にあたっては、生徒にとって「より他律的」とするか、「より自律的」とするかは、その学校の実態と指導の経過の中で決定されるべきで、他律的方法が悪で、自律的方法が善であると単純に断定できるものでない。

・リーダーシップのある生徒が少ない生徒集団に対して、性急に自主的、自律的な規律を要求し、指導をしても決して成功は望めるものではない。むしろこの場合、教師から生徒への厳しい「要求」から始めることも非常にたいせつで実際的であろう。しかし、一方リーダーシップと、高い自律意識をもった生徒集団に対しては、生徒から「抑圧」と受け取られ、かえって失敗することも予測される。

要は、状況に応じて方法を組み合わせ、あるいは並行させ、つねに成果を点検しながら進むことが重要であるといわれる。

(二) 規律の維持向上の指導概要

以下文部省生徒指導推進校の実践について検討してみる。

基本方針

1 教職員全員の共通理解を図り同一歩調、同一基準の指導と展開する。

2 連帯感や仲間意識を高揚することにより規律の維持向上を図る。

3 学習指導、生活指導、実習指導を三本の程とし、それぞれの分野、さまざまな場面で具体的な指導を実践する。

指導の実践概要

1 教職員全員による共通の場、同一時間で行う指導により、共通理解と同一歩調の指導を行う。

服装検査(体育館)校門補導(生徒昇降口)所持品検査、実習始業時の指導等。

2 集団の機能を高める指導

連帯感、仲間意識を高揚する指導、全校集会時における校歌斉唱、部活動の活発化、生徒会行事の活発化(学級対抗的行事、学校祭等)勤労体験的学習の指導(清掃、校内環境美化、農業実習等)

3 訓育的な場面指導の強化

学習指導(授業時間中の姿勢、返事応答、服装、教科書、ノート、筆記用具等の準備)生活指導(服装、頭髪、生活態度、所持品、携行品、欠

 

 

 


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