教育福島0041号(1979年(S54)06月)-017page
席、遅刻等の防止等)実習指導(集合時間の厳守、整列のしかた、実習の服装、返事や応答、実習服、用具の整理保管等)
4 全体指導と個別指導の調和
全体指導には厳しい態度で臨み、遵守事項を精選し、必ず励行させるようにするが、それを守れないような生徒に対しては、教育相談的な手法で指導したり、家庭との連携を密にしながら、保護者ともども援助の手を差し伸べるようにする。
指導実践の反省と評価
1 指導体制の確立
前述のように教育活動には、共通理解とそれに基づく同一歩調の指導が欠かせない条件であり、指導者側に著しい個人差があっては教育効果は期待できるものではなく、生徒指導において特に強く要請されるものである。
研究推進校としての実践にあたっては、まず、従来にも増して生徒指導について研修や研究協議をする機会を多くもつことができ、これらをとおして教職員間に協力一致の態勢がほぼ確立されたことは大きな成果といえよう。
今後もこのような体制を維持するとともにさらに積極的に発展させることが望まれる。
2 訓育的規律指導の成果
規律指導の内容や形態は「しつけ」教育的な要素が多く、ときには強制を伴う厳しい指導でもあったが、全職員共通理解の上に立った一致協力の指導であり、この指導体制と教師の熱意が生徒全体、学校全体の向上心を刺激し、緊張感がみなぎり規律指導ばかりでなく、生徒の学校生活に対する意欲を高める基盤整備づくりに結びつけることができたことは大きな成果であろう。
3 自主的、自律的活動の促進
規律指導には強制や押しつけなどが伴うのはやむを得ないとしても、それだけに終始することは望ましいことではないし、生徒の反発を招いたりして教育的とはいえない。したがってこれらの指導の展開にあたっては、生徒自身に基本的行動様式についての理解や集団生活、社会生活と規律についてじゅうぶん理解させるとともに、絶えず生徒自身が反省や自己評価できるよう指導上の配慮とくふうが必要である。
昨年度末アンケート調査では、教師が厳しい姿勢で臨む諸検査や指導を容認する回答が予想以上に多かった。
特に服装検査は半数以上の生徒が、所持品検査は約四割の生徒が、その実施の継続を望むなどの容認的回答をしていることが目立った。
このことは、集団が個人の生活を律していく機能が弱まり、外側から規制や強制が必要となってきたこと。われわれはややもすると問題行動に逸脱しやすい生徒に目をむけがちであるが、高校生全体を厳しく見つめ、全体として向上しなければならないと考えている、いわば良識派ともいうべき生徒も多いことと解することもできる。
4 規律指導と自発的活動を促す指導との調和
教師が厳しい態度で臨む規律指導と生徒の自主性にゆだねる活動を促す指導とは、決して相反するものではないが、いずれか一方に偏り過ぎては、集団の規律の維持向上の質的な成果を望めない。
一般に生徒に自主的、自発的活動を促す指導はむずかしいものである。
それは、これらの指導が「放任」と置き換えられたり、また生徒にとって熱意のない指導と受けとられたりする場合もあるからである。
したがって、日常の厳しい指導体制の中で、生徒の遵守事項を精選し、守るべきものは守らせるという厳しさの中での自主的活動こそむしろ生き生きとしたものとなる可能性があろう。
生活規律の教育を行う場合に考えておきたいことは、社会規範や集団道徳、望ましい行動を学習することに対する従順性である。自己規律は自己の内部における良心に対する従順性が基盤となるので幼少時における従順性に対する訓練が青年期における自己規律の確立の鍵となる。
と同時に社会的道徳的逸脱行動に対しては厳しく指導するなど、賞罰による教育作用の強化も必要である。その場合学校、家庭が一体となった一貫性のある指導が必要で、自己の行動に対する自党を促す援助がたいせつである。
生徒の道徳的人格を育成するために教師自身が心がけねばならないこととして
1 生徒の自発的問題解決学習の機会や場を与える。
2 望ましい対処行動に対する生徒の実践計画や決意を認め励ます。
3 みずからがより高い目標を目指して努力しているモデルになる。
4 より高い、望ましいものへの挑戦の勇気を育てる。
5 生徒の失敗やざ折などの危機場面を生き方の学習の機会としてとらえ、失敗を受容する勇気を教えるとともに、それをのりこえるための積極的な指導援助を行う。
6 怠惰や安易な生き方、無責任な自己中心的行動を許さない。つまり生徒の人間としての怠りに対して厳しく警告し、生徒の持っている良心に呼びかけ、目覚めさせることなどが強く要請されることを忘れてはならない。