教育福島0041号(1979年(S54)06月)-020page

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格的な、評価におきかえての自己嫌悪やあきらめの気持ちなどが先立ち、たくましくい自己開発ができない傾向がある。

5 その他生徒をとりまく環境の劣悪さ、自己中心主義、混迷する価値観等、生徒をとりまく非行の誘因は限りなくを多いといえる。

これらの非行の予防的指導を強力に展開するためには、各校の持つ文化的社会的特殊性に照らしながら、特徴的な要因に重点を置き緊急度を勘案し、具体的指導の方策は学校にあったものになるようつとめたいものである。

(二) 非行の予防的指導の取り組み

1 校内指導体制の中で

・教育課程の検討

・進路指導の充実

・教育相談の強化

・安全教育の徹底

・授業研究の日常化

・教科学習の個別化

・ホームルーム活動の充実

・文化、運動、各部活動の奨励

・生徒会各委員会活動

・教師と生徒の会の結成

・環境美化運動と奉仕活動の実践

・家庭訪問の充実強化

等の教育活動を計画的継続的に実践しながら生徒の内面にせまる指導を具体化し積極的な生徒指導を進めることが非行の予防対策である。しかも学校、家庭、生徒の三者の同一視点による学校の実態にあった実践がたいせつである。

2 生徒理解を深める有機的な諸資料の活用

非行予防の指導の展開にとって生徒理解が根底になることは当然であるが、その方法については、たえずそれぞれの学校で生徒理解の実態を検討して改善を重ねていくことがたいせつである。

・家庭環境と家族関係

・高校進学決定前後の事情は握

・進学希望の適合性

・教科学習状況

・友人関係

・性格等諸検査

等については、すべての学校で各種の諸調査が整備されているが、これらの資料の有機的な活用をはかり、特に生徒の精神的な健康が保たれているかどうかを、これらの各種資料や、教科担当者、学年会等の情報から早期につかむように心がける必要がある。また生徒に対する自己理解のための援助が、これらの資料に基づいて、全教師によって、いつでも行われるようにする必要がある。要は生徒の内面にせまる理解のしかたに観点をおいて、それがじゅうぶんになされるようつとめることである。

3 家庭との連携から

一般的に家庭の教育的機能の回復が叫ばれるようになって久しい。家庭におけるしつけの不統一、過保護、放任、期待過剰等、生徒をめぐる家庭内の問題点を数多く指摘することができる。

また、家庭教育の重要性をじゅうぶん認識していながらも、それを具体的にどう進めるか、価値観の多様化の中で戸惑っている親はかなり多い。

学校と家庭の連携をはかり教育的機能を高め、非行化を予防するために次のようなことが考えられる。

(1) 入学当初の保護者懇談会において生徒の問題行動全般に対する諸事例等の解説、紹介、予防のための基本的な家庭での注意等について徹底する。

(2) 服装、頭髪、遅刻早退、無断欠席、外泊、喫煙等いわゆる非行の前駆的特徴といわれるものに対する学校、家庭、生徒の三者における共通理解、指導等の手だてを検討する。

(3) 止宿生保護者会、列車通学生保護者会、自転車バイク通学生保護者会等の開催を推進し、固有の問題を具体的に提示しながら、学校の指導方針と保護者の要請とが、からみ合うように討議し対策を樹立する。

4 家庭との連絡

(1) 学校からの諸連絡が確実に保護者のもとに届いているか、また文書の質と量は適切であるか等について検討する。

(2) 保護者から学校への積極的な連絡を要請すること。これがじゅうぶんでないとしたらその原因は何か、教師と家庭、教師と生徒との信頼関係がじゅうぶんであるか等について検討する。

5 諸会合のもち方についてのくふう。

(1) 集会に参加しにくい保護者のために方部会を開ぐとか、曜日、時間等の配慮やくふうをする。

(2) 方部懇談会等の開催に当っては学校や教師サイドで会を進めることに終始することなく、保護者の発言がじゅうぶんに確保されるように配慮する。

6 家庭訪問

問題行動が発生してから家庭訪問をするのではなく、できれば入学後遅くとも夏季休業中までに、生徒の家庭を訪ね、生活環境、家族状況等をは握することが望まれる。

また教師と保護者の意思の疎通をはかり相互の信頼関係を通して家族の変容を期待し、子供への指導と助言が適切に行われるように援助し、生徒の本来的な学習活動に結びつけるようにすることである。

以上非行事故の予防のための事前の指導の組織化について考えたが、一般的に言えることは、事後の指導についてはよく組織化されているのに比べて事前指導については諸般の事情があるにせよ、もう一歩踏み込みが不足しているということであり、今後の生徒指導の大きな努力事項であろう。

 

 

 


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