教育福島0041号(1979年(S54)06月)-032page
わがまちのしゃかいきょういく
高齢者対策としての人材銀行
川俣町教育委員会
一、町の位置、地勢
川俣町は阿武隈山地西斜面の丘陵地帯にあり、伊達郡南部に位して、東は相馬郡飯舘村、双葉郡浪江町、南は安達郡東和町、西は伊達郡飯野町、北は月舘町に接し、福島市の東南二十四キロメートル、県都周辺の主要な地区拠点として存立している。
相馬郡境につらなる北部阿武隈の山なみには、秀麗な花塚山九百十八メートル、高太石山八百三十六メートルがそびえ、尾根から西に走る斜面に耕地がひらけ、丘陵性のため集水面積が少なく、大河川の発達はみられない。
耕地は、広瀬川、口太川、女神川の流域にややまとまるほかは、山間をぬう傾斜地が多く、標高五百メートル以上の高冷地型も少なくない。
母岩は一般に古生層、一部に第三紀の下部層がみられ、基岩は古期花崗閃緑岩で部分的に新期花崗閃緑岩が混在し、土性は壊上、砂壊上である。
国道百十四号線(福島〜浪江)主要地方道原町〜川俣線は県都と太平洋沿岸を結び、その他県道、町道ともに交通の結節点を形成している。古来、織物(絹、化合繊)の産地として発展してきた。
二、町の教育基本方針
明るい郷土の発展をめざし、町民が教育と文化の香り豊かな生活を送れるよう
・人間の生き方を学ぶ優れた知性
・自然と芸術に親しむ豊かな心
・健全な心を支えるたくましい体
の育成を目標に、家庭、学校、社会教育がそれぞれの機能を発揮し、相互に補完しながら生がい教育の理念の実現を図る。
このため、町民の理解、協力、関係機関、団体との緊密な連携により
・知育、徳育、体育の調和のとれた学校教育
・主体的な自己啓発による豊かな心を育てる社会教育
を推進する。
以上の基本方針を踏まえた社会教育事業の計画的展開が求められている。
三、社会教育事業としての高齢者人材銀行
本町における高齢者人口は表1のとおりであり、総人口に占める高齢者人口は増加の一途にある。高齢者に対する福祉諸制度はかなりその充実をみるに至っているが、物的な対処のみをもってこと足りると解することはできない。いわゆる生がい教育(学習)に自己を没入させ、人間としての生に対する目さめと、学習に求める人間本来の生きがいを追求する手段として、高齢者人材銀行を発足させたものである。次にその要綱を紹介してみる。
社会文化伝承のための「高齢者人材銀行」登録要綱(抜すい)
1、趣旨
社会経済の著しい変動と相まって、人口構造の急激な高齢化は避けることのできない問題として最重要視しなければならない。(中略)高齢者は、永年つちかってきた豊かな知識、技能を教多くもっている。これらの知識技能を後世に託する先輩として、また、伝承文化、情報の所持者として登録し、社会教育の面から「住みよい郷土づくり」を推進する。
2、登録する伝承文化・技術等
郷土芸能・園芸・歌・郷土の料理・健康保持方法・郷土の昔話・昔の生活用具及び日常作業用具の製作技術等・その他学識及び技術的なこと。
3、登録された伝承文化等の利用と交換
表1 川俣町の高齢者人口(国調)
年 総人口A 65歳以上人口B 高齢者人口割合B/A % 昭30 26,949人 1,625人 6.03 昭35 25,983 1,817 6.99 昭40 24,741 1,992 8.05 昭45 22,747 2,108 9.27 昭50 21,644 2,288 10.57 注(昭30.3.1 1町7か村合併)